前編では、開業準備における税務の基礎知識について解説しました。
後編では、開業後に行うべき税務対策について、より詳しく解説していきます。
開業後必須の税務対策
開業後も、税金に関する手続きは続きます。税務対策をしっかりと行うことで、節税効果はもちろん、スムーズなクリニック経営に繋がりますので、確認していきましょう。
1. 確定申告
毎年、1月~12月の事業所得について、翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。確定申告では、1年間の収入と経費を計算し、税金を確定させます。
- 青色申告のメリット
青色申告をしている場合は、所得控除を受けられるなど、税金が安くなる可能性があります。 - 帳簿の付け方
正確な確定申告を行うために、日々の収入や経費をきちんと記録しておく必要があります。
2. 節税対策
節税対策は、合法的な範囲内で税金を少なくする方法です。
- 経費の計上
経費になるものはしっかりと経費計上することで、課税所得を減らすことができます。 - 固定資産の取得
医療機器などの固定資産を取得する場合には、減価償却費を計上することで、税金を減らすことができます。 - 医療法人化
規模が大きくなった場合は、医療法人化することで、法人税率による税負担の軽減や相続税対策などが可能です。
3. 税制改正への対応
税法は毎年改正されます。最新の税制改正情報を把握し、自院の経営に活かしましょう。
4. 税務調査
税務署から税務調査が入る可能性もあります。税務調査に備えて、帳簿をきちんと整備しておきましょう。
税理士の活用
税金に関することは、専門知識が必要です。税理士に相談することで、
- 節税対策
法律の範囲内で、最適な節税対策を提案してもらえます。 - 確定申告
正確な確定申告書を作成してもらえます。 - 税務調査への対応
税務調査が入った場合でも、税理士がサポートしてくれます。
クリニック経営をスムーズに行う上で、開業後の税務対策も非常に重要です。
- 確定申告を確実に
毎年、期限内に確定申告を行いましょう。 - 節税対策を検討
法律の範囲内で、節税対策を行いましょう。 - 税理士に相談
税金に関することは、医業に強い税理士に相談しましょう。
開業後の税務は、クリニック経営の安定化に欠かせない要素です。この連載が、先生のクリニック経営の一助となれば幸いです。ご不明な点などございましたら、お気軽にご相談ください。
本日は、確定申告の注意点と節税対策について、簡単にご説明いたしました。より詳細な情報をご希望の際は、いつでもペンデル税理士法人 医業経営支援部までお問い合わせください。
税金の年間納付スケジュール
1月 | 源泉所得税 特例納付分(1/20) 住民税 第4期分 |
2月 | 固定資産税・償却資産税 第4期分 |
3月 | 所得税(3/15 振替納税の場合は4月中旬から下旬) 消費税(3/31 振替納税の場合は4月中旬から下旬) |
4月 | 所得税振替納税(4月中旬から下旬) 消費税振替納税(4月中旬から下旬) 固定資産税・償却資産税 第1期分 |
5月 | 自動車税 |
6月 | 住民税第1期分 特別徴収住民税 特例納付分(6/10) |
7月 | 源泉所得税 特例納付分(7/10) 所得税予定納税 第1期分 固定資産税・償却資産税 第2期分 |
8月 | 住民税 第2期分 事業税 第1期分 |
9月 | |
10月 | 住民税 第3期分 |
11月 | 所得税予定納税 第2期分 事業税 第2期分 |
12月 | 固定資産税・償却資産税 第3期分 特別徴収住民税 特例納付分(12/10) |
※()内は納付期限。記載の無いものは各月末日。
上記の表は、源泉所得税と特別徴収住民税について、納期の特例の承認申請をした場合の納付スケジュールです。
納期の特例を使わない場合は、源泉所得税、特別徴収住民税の納付期限は、給与を支給した月の翌月10日となります。