こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部 親泊です。
前回は、「設備投資」についてお話しいたしました。
今回は「スタッフ募集と採用、労務管理」について、お話しいたします。
不明点があれば、いつでもお問い合せいただければ幸いです。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

まず、クリニックを運営していくには、スタッフが必要不可欠です。
開業前後の院長の悩みは、資金繰りや経営の安定に関するものが多いのですが
経営が順調に進んでいくとその悩みも少しずつ解消されます。
しかし、いくら経営がうまくいっているクリニックでも
スタッフに関する悩みは5年、10年、20年経っても続くことがあります。
スタッフの採用や労務管理は、あきらめず、投げ出さず
中長期的な視点でしっかりと取り組むことが大切でしょう。
スタッフ募集と採用について
クリニック開業時、特にオープニングスタッフを募集するときは
多くの応募者が集まりやすい傾向にあります。
しかし、ただたくさんのスタッフを採用すればいいというわけではありません。
必要な職種ごとに適切な人数を事前に把握しておくことが大事です。
これを怠ると、後になって人員過剰になってしまい、無駄なコストがかかることにもつながります。
また、スタッフの採用では、履歴書だけでなく、その人の性格やコミュニケーション能力も重要です。
クリニックはチームで動く場所ですから、協調性を持って働けるかどうかも見極める必要があります。
もちろん経歴も大事ですが、「この人と一緒に働きたい」と感じられる人材かどうかを
考えることが大切です。
採用面接で不採用になった方に対しても、礼儀を尽くして対応しましょう。
スタッフ募集に応募される方は、受診エリアの住民であることも多く、患者候補であるだけでなく
将来的に欠員が出たときに、再度お願いできるような良好な関係を維持することが望ましいです。
こうした対応は、長い目で見ればクリニックのイメージアップにもつながります。
募集方法はいくつかあります。
求人情報誌(紙媒体、インターネット)、人材派遣や紹介会社、ハローワーク、
知人からの紹介などです。
どの方法が最も適しているかは、募集する職種や、クリニックを開業する地域性によって異なります。
場合によって、求人広告は、広告会社に相談するのも有効です。
広告のプロに任せることで、より効果的な人材募集ができるでしょう。
クリニック開業時の求人募集タイミングとしては、開業の3~4か月前から始めるのが一般的です。
早めにスタッフを確保しておき、開業の2~4週間前には研修を始められるように準備するのが理想です。
これによって、開業初日からスムーズに業務が回るようにすることができます。
労務管理について
小規模なクリニックでは、院長か配偶者が労務管理を自分で行うことが多いですね。
しかし、労務管理は経営において非常に重要なポイントですので
開業の準備で忙しいからといって後回しにしたり、よく考えずに決めてしまうと
将来的に大きな問題に発展することもあります。
特に、就業規則はしっかりと作っておきましょう。
作っておかないと職場の中で暗黙のルールがどんどんできてしまいます。
これらのルールは、時間が経てば経つほど修正が難しくなります。
そのため、最初から明確なルールを作っておくことが重要でしょう。
とは言っても、インターネットや書籍で見かける「モデル就業規則」をそのまま使うのは
避けるべきです。
クリニック名だけを書き換えて利用すると、先生の意向が反映されておらず
後々問題が起きる可能性が高いです。
労働基準法は労働者の権利を守るための法律ですが、モデルをそのまま使うと
労働者有利な就業規則になってしまい、クリニックにとって
非常に不利になってしまうことも…。
もし後から規則を変更しようとしても、労働者にとって不利益な変更は
法律上認められないことがあるので、初めから慎重に作成する必要があります。
適切な就業規則は
スタッフとのトラブルを未然に防ぐだけでなく、先生の意向を反映した決まり事を
明確にすることで公平感がうまれ、離職率の軽減につながることがあるほか
助成金を受けるための条件となっていることもあるなど
スタッフを守るだけでなく、クリニック自身を守ることにもなります。
是非、医療機関のサポート経験が豊富な社労士か、税理士事務所にご相談して
クリニックの実情に合った就業規則を作成してください。
その取り組みが、経営も安定しスタッフも安心して働ける環境を作ることにつながります。
次回は、「開業前後の税務と経理」についてお話いたします。
ペンデル税理士法人 医業経営支援部では、人材採用計画もサポートとしているほか
グループ内に社労士法人もございますので、いざというときの社労士のサポートも可能です。
お困りの際は、ペンデル税理士法人 医業経営支援部までお気軽にご連絡いただければ幸いです。