こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部の親泊です。
毎日、患者のために全力投球されている院長、本当にお疲れ様です。日々の診療だけでもお忙しい中、「経営のことまで手が回らないよ!」というのが本音ではないでしょうか?特に、「税理士に任せているから、会計の細かい数字なんて…」そう思われるのも無理はありません。しかし、もし、書類を見るだけで、クリニックの健康状態、つまり経営の全体像をサッと把握できるとしたら…?まるで、患者の検査結果を見るように、自院の経営状態を理解できるとしたら、どうでしょう?「総勘定元帳」。なんだか難しそうな名前ですが、実はこれこそが、院長が経営の舵取りをする上で、最強の武器となります。このコラムを読めば、今まで「謎の書類」だった総勘定元帳が、まるで必須の検査報告書のように身近に感じられるはず。さあ一緒に、総勘定元帳とは何か、確認していきましょう。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

クリニックの総勘定元帳とは?~仕訳との美味しい関係~
「総勘定元帳」と聞くと、分厚いバインダーにびっしりと数字が書き込まれている…そんなイメージをお持ちかもしれませんね。あながち間違いでもありません。では、もっとシンプルに捉えてみましょう。総勘定元帳とは、一言で言えば「クリニックのお金の動きを、項目ごとにまとめた最終報告書」のようなものです。
「仕訳」について、以前お伝えいたしましたが、日々の取引、例えば「患者から診療報酬を受け取った」「医薬品を購入した」といった一つ一つの出来事を、「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」というルールに従って記録する作業のこと。いわば、日々の取引の「日記」です。
そして、この「日記(仕訳)」に書かれた出来事を、項目ごと(例えば「売上」「給料」「消耗品費」など)に整理して転記し、最終的にまとめたものが「総勘定元帳」なのです。仕訳が日々の細かなメモだとしたら、総勘定元帳はそれを科目ごとに整理した清書ノート。この二つは、切っても切れない、素晴らしい関係にあるのです。税理士は、この「仕訳」という作業を日々、あるいは月々行い、その集大成として「総勘定元帳」を作成している、というわけです。

なぜ総勘定元帳がクリニック経営に必要なのか?~未来への羅針盤を手に入れよう~
「税理士に任せてるんだから、別に総勘定元帳なんて見なくても…」そうお考えの院長、お待ちください!それは、まるで高性能なカーナビを積んでいるのに、拡大も縮小もせず、渋滞情報が出ても気にせずに運転しているようなものかもしれません。総勘定元帳は、単なる過去の記録ではありません。患者の検査結果と同様に、表に出てくる症状の原因を推察する手助けとなるのです。
なぜなら、総勘定元帳には、クリニックのお金が「どこから来て」「どこへ消えていったのか」、その全貌が記されているからです。例えば、「売上は順調に伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない…」そんな疑問をお持ちではありませんか?総勘定元帳を見れば、どの経費が予想以上に膨らんでいるのか、あるいは売掛金の回収が遅れていないかなど、その原因を突き止めるヒントが隠されています。 さらに、総勘定元帳を理解することで、税理士とのコミュニケーションが格段にスムーズになります。「今月は〇〇費が少し多かったですが、他のクリニックではどのように出費を抑えていますか?」といった具体的な質問ができるようになり、より的確なアドバイスを受けられるようになるでしょう。これは、院長が経営者として、より深く、確かな一歩を踏み出すことに他なりません。総勘定元帳は、クリニック経営の「健康診断書」。定期的にチェックすることで、早期に問題を発見し、未来への確かな一手を打つことができるのです。

総勘定元帳ってどうやってできるの?~税理士の魔法の裏側~
さて、そんな便利な総勘定元帳ですが、一体どのようにして作られるのでしょうか?会計ソフトを導入していないクリニックの場合、その作成は主に税理士の手に委ねられています。まるで魔法のように、いつの間にか出来上がっているように見えるかもしれませんが、そこには地道なステップが存在します。
まず、スタート地点は、日々の取引を証明する書類です。領収書、請求書、預金通帳のコピーなどですね。院長には、これらの書類をきちんと保管し、税理士にお渡しいただくことになります。これがなければ、どんな腕利きの税理士でもお手上げです!
次に、税理士はこれらの書類をもとに、先ほどお話しした「仕訳」を行います。一つ一つの取引を、「これは売上だ」「これは経費だ」と判断し、会計のルールに従って記録していくのです。これは、非常に根気のいる、そして専門知識が必要な作業。まさに職人技?と言えるでしょう。
そして、この膨大な仕訳データを、「売上」「給料」「地代家賃」「消耗品費」といった勘定科目ごとに集計していきます。例えるなら、バラバラに散らばっていたレゴブロックを、色や形ごとに仕分けるようなイメージでしょうか。 最後に、この科目ごとに集計された数字を、きちんと整理されたフォーマットに落とし込みます。これで「総勘定元帳」の完成です!日々お渡しいただいている資料が、税理士というプロフェッショナルの手によって、経営判断に役立つ貴重なデータへと生まれ変わる。これが、総勘定元帳作成の流れなのです。院長と税理士の二人三脚があってこそ、この魔法は実現するのです。

ココだけは押さえたい!総勘定元帳の読み解きポイント~忙しい院長のための虎の巻~
「総勘定元帳が大事なのはわかった。でも、全部見る時間なんてないよ!」そうですよね、院長のお忙しさは重々承知しております。ご安心ください。すべての数字を細かく追う必要はありません。まずは、経営の勘所を押さえるためのポイントをいくつかご紹介しましょう。これさえ知っておけば、税理士との会話もスムーズになり、経営判断の精度もグッと上がるはずです!
- 「売上高」をチェック!:まずは、クリニックの根幹である売上です。前月比、前年同月比でどのように推移しているかを確認しましょう。保険診療と自由診療の比率なども把握できると、より深く分析できます。売上のトレンドを見ることで、クリニックの勢いがわかります。
- 大きな「経費」に注目!:次に、どんなことにお金を使っているかを見ます。特に、「人件費」「医薬品費」「広告宣伝費」といった金額の大きな費目に注目しましょう。これらの経費が売上に対して適切な割合か、急激に増減していないかを確認するだけで、多くの気づきがあるはずです。
- 「現金・預金」の動きを追う!:意外と見落としがちなのが、手元資金の動きです。売上があっても、現金がなければ黒字倒産なんてことも…。毎月、どれくらい現金が増減しているのかを把握しておくことは、資金繰りを安定させる上で非常に重要です。
- 「借入金」の残高は?:もし、銀行などから融資を受けている場合は、その残高と返済状況も確認しておきましょう。将来の返済計画を意識することは、健全な経営の第一歩です。
最初は、これらのポイントに絞って眺めてみるだけでも十分です。慣れてきたら、徐々に他の項目にも目を向けてみてください。総勘定元帳は、見れば見るほど、クリニックの現状を語りかけてくれる検査報告書なのです。

院長の疑問をスッキリ解消!総勘定元帳Q&A~もう「?」とは言わせない~
ここまで読み進めてくださった院長なら、総勘定元帳への抵抗感もずいぶん和らいできたのではないでしょうか?最後に、院長が抱きがちな疑問について、Q&A形式でスッキリ解消していきましょう!

Q1. 総勘定元帳って、毎月見なきゃダメなの?
A1. 理想を言えば、毎月チェックする習慣をつけることをお勧めします。経営は生き物です。毎月チェックすることで、変化にいち早く気づき、迅速に対応することができます。とはいえ、お忙しい院長ですから、まずは3ヶ月に1度、あるいは半年に1度でも構いません。大切なのは、定期的に目を通すことです。税理士との打ち合わせの際に、一緒に確認するのも良い方法ですね。
Q2. 赤字の月があったら、どう考えればいいの?
A2. 赤字だからといって、すぐに落ち込む必要はありません!大切なのは、なぜ赤字になったのか、その原因を探ることです。例えば、高額な医療機器を購入した月や、賞与を支払った月は一時的に赤字になることもあります。それが計画的な赤字なのか、それとも想定外の赤字なのか。総勘定元帳を見ながら、その背景を理解することが重要です。もし原因がわからない場合は、迷わず税理士に相談しましょう。
Q3. 税理士に「総勘定元帳を見せてください」って言いにくいんだけど…
A3. そんなことはありません!税理士は、院長が経営に関心を持ってくださることを、むしろ歓迎しているはずです。「経営を理解したいので、総勘定元帳について教えていただけますか?」と、ぜひ積極的に声をかけてみてください。院長のその一言が、税理士との関係をより強固にし、クリニックの発展に繋がるはずです。
Q4. 会計ソフトを入れないと、やっぱり不便?
A4. 必ずしもそうとは限りません。会計ソフトは便利ですが、導入や運用にはコストや手間もかかります。大切なのは、ご自身のクリニックの規模や状況に合わせて、最適な方法を選ぶことです。税理士としっかり連携が取れていれば、ソフトがなくても経営状況を把握することは十分に可能です。まずは、税理士から受け取る資料(総勘定元帳など)をしっかり活用することから始めてみましょう。
おわりに
ここまでお付き合いいただき、心から感謝申し上げます。いかがでしたか?「総勘定元帳」という、これまで少し遠い存在だったかもしれないものが、少しでも身近に感じられるようになっていれば、これほど嬉しいことはありません。
さあ、今こそ行動の時です! 次に税理士とお会いする際に、ぜひ「総勘定元帳を見せてください」と伝えてみてください。そして、今日学んだポイントを思い出しながら、ご自身のクリニックの「健康診断書」を眺めてみてください。きっと、これまで見えなかった景色が見えてくるはずです。それは、院長が真の経営者として、新たなステージへ上がる瞬間です。
経営を理解することは、決して難しいことではありません。むしろ、ご自身のクリニックの成長を実感できる、エキサイティングな時間なのです。
そして、もし「一人で読み解くのは不安だな」「もっと専門的なアドバイスが欲しいな」と感じられたなら、どうぞご安心ください。そんな時は、ぜひ私たちペンデル税理士法人にお気軽にご相談ください。私たちは、クリニック経営に精通したプロフェッショナルとして、院長の最も頼れるパートナーとなることをお約束いたします。
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