こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
「あんなに目をかけていたのに」「急に辞めると言われて困る」。
スタッフの退職に直面した院長が漏らすこれらの言葉は、経営者としての観察不足を
表しているのかもしれません。
スタッフの離職には多くの場合、事前に何らかの「サイレント・サイン」が現れることが
少なくありません。
それに気づかず、辞めてから慌てるのは、クリニック運営の重大な不注意です。
優秀な人材を失うことは、採用コストの増大だけでなく、残されたスタッフの負担増と
組織崩壊の引き金となります。
しかし、このサインを正しく察知できれば、負の連鎖は必ず断ち切れます。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
見逃してはならない「行動変容」の具体例
離職の兆候は、本人の口から語られる不満よりも、日々の勤怠記録や業務態度など、
客観的に把握できる行動の変化として現れます。
- 勤怠パターンの急変
これまで残業をいとわなかったスタッフが、急に定時退社を繰り返すようになる、
あるいは有給休暇の申請が急増するケースでは、私生活上の事情に加え、
転職準備や職場への心理的距離が生じている可能性も否定できません。
- 遅刻・早退の頻発
以前は正確だった出退勤がルーズになるのは、仕事への責任感や帰属意識の低下が
背景にある可能性があり、注意深い観察が必要です。
- 言動の消極化
ミーティングでの発言がなくなる、院長と目を合わせなくなる、あるいは逆に
周囲への批判が急に影を潜め「無関心」の状態は、改善提案や不満表明すら
行われなくなる段階であり、離職が現実的な選択肢となっている可能性が高いため、
特に注意が必要です。
- 事務的作業の質的変化
申送り件数や日報の精度など、日常のルーチン作業にムラが出始めることも
予兆の一つです。
「見えない出血」が利益を削り取る
スタッフが1人辞めるごとに、新たな採用広告費、面接に伴う院長の機会損失、
そして新人教育にかかる膨大な時間が発生します。
さらに、欠員を埋めるために既存スタッフに無理を強いることで、第2、第3の離職を招く
「負の連鎖」こそが診療所経営にとって最大の脅威です。
これらを防ぐには、院長の主観的な「大丈夫だろう」という予測ではなく、
勤怠記録、休暇取得状況、面談記録など、日常業務から得られる客観的な情報に基づいた
リスク評価が不可欠です。
おわりに
離職率を下げ、組織を安定させるために、今すぐ実行すべき優先順位を示します。
- 勤怠記録の「変化」を抽出する
過去数ヶ月のデータを遡り、特定のスタッフに有給消化や定時退社の急増がないか
点検してください。
- エンゲージメント調査の定例化
スタッフがクリニックに対してどの程度の愛着心や貢献意欲を持っているか、
簡易的なアンケートや定期面談を通じて、エンゲージメントを可視化することも
有効です。
- 退職者データの分析
過去の退職者が「いつ、どのような予兆を見せていたか」を整理し、
在職中のスタッフに同様のパターンがないか確認してください。
経営とは、変化を察知し、先手を打つことです。スタッフの不自然な動きを「たまたま」で
片付けず、組織の歪みを修正し、負の連鎖を断ち切りましょう。
ペンデルグループは、貴院の労務環境を客観的に診断し、離職コストを最小化するための
具体的な組織戦略を提案します。
(ペンデルへのお問い合せ はこちらから)
(参考)
いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)
厚生労働省:働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック