こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
2025年11月を迎え、10月1日に施行された「改正育児・介護休業法」から
1ヶ月が経過しました。
院長、率直におききします。「うちは少人数だから」「スタッフから要望がないから」
という理由で対応を後回しにしていませんか?
もし10月1日時点で就業規則の改定や、対象スタッフへの個別面談が
完了していないのであれば、貴院は現在、「法令違反」の状態にあります。
これは単なる事務作業の遅れではありません。スタッフからの信頼失墜、
ひいては労働基準監督署の是正勧告や、離職に伴う数百万円規模の採用コスト増大という
「機会損失」の可能性がある深刻な経営課題です。
本記事では、11月現在の今、院長が「最低限、これだけは完了させておくべき」実務を
3点に絞り、戦略的に解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

「柔軟な働き方」の義務化:形だけの制度導入は火種を生む
今回の改正で最も重い義務の一つが、3歳から小学校就学前の子を持つスタッフに対し、
「2つ以上の両立支援措置」を講じることです。
クリニックで現実的に選択すべきは以下の措置です。
- 新たな休暇制度の付与
子の学校行事や病児の看護などに対応できる、仕事と育児を両立するための休暇。 - 短時間勤務制度
原則として1日6時間とする制度。 - 始業・終業時刻の変更
時差出勤など。
【院長が見落としやすい盲点】
「うちは柔軟に対応しているから大丈夫」という口約束は通用しません。
これらの措置は、「就業規則への明文化」と「労働基準監督署への届出」が
セットで義務です。
また、導入にあたってはスタッフ代表からの意見聴取が必要です。
もしこれらを怠ったまま制度を運用すれば、後に「残業代の計算根拠」や「不利益変更」を
巡る労務トラブルに発展した際、クリニック側が圧倒的に不利になります。
所定外労働(残業)免除の対象拡大:シフト管理の再構築は必須
盲点になりやすいのが、残業免除の請求権の拡大です。これまでは「3歳まで」でしたが、
今回の改正により「小学校就学前まで」に延長されました。
【経営者としてのチェックポイント】
小学校入学前の子を養育するスタッフが残業免除を申請した場合、
院長はそれを拒否できません。
これは、夕方の診療時間が長引くクリニックにとって、決定的な人員不足を招くリスクを
意味します。
「権利だから仕方ない」と放置すれば、他のスタッフに負担が偏り、連鎖退職を招きます。
今すべきは、法改正を機に「誰がいつまで時短・残業免除を使う可能性があるか」を
数年スパンで予測し、早めの増員やタスクの効率化(DX化)に投資することです。
この投資を惜しむことの機会コスト(離職と採用のループ)は、
法対応の手間よりも遥かに高額になる可能性があります。
院長に求められる「覚悟」
法改正は、単なるルールの変更ではありません。
「スタッフに選ばれ続ける職場」かどうかの境界線です。
「10月に間に合わなかった」のであれば、今すぐ動くしかありません。
まずは現行の就業規則を開き、上記のポイントが反映されているか確認してください。
もし少しでも不安があるのなら、それは貴院の労務基盤が揺らいでいる証拠です。
ペンデル税理士グループでは、税務だけでなく、こうした経営の根幹を揺るがす
労務リスクへの対策をトータルでサポートしています。
手遅れになる前に、一刻も早くご相談ください。
(参考)
厚生労働省:『育児・介護休業法 改正ポイントのご案内』