こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
医療法人や開業医が所有する不動産の相続・事業承継では、土地の評価方法が税額を大きく左右します。
なかでも見落とされやすいのが「歩道状空地」です。最高裁の判決により評価が変わった論点を、やさしく解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
歩道状空地とは
大型マンションなどでは、前面道路に沿って歩行者用の空地と修景施設の設置が求められ、これを「歩道状空地」といいます。公開空地の一部で、容積率や建物の高さの制限緩和を受ける条件にもなっています。公道が十分に広いのに歩道を拡幅したように見えるのは、このためです。
私道の評価(3割評価とゼロ評価)
私道の評価については、財産評価基本通達で次のように定められています。
- 原則:宅地の評価額の100分の30(3割評価)
- 不特定多数の者の通行の用に供されているとき:その私道は評価しない(ゼロ評価)
つまり、歩道状空地を私道として評価できれば、相続税の評価額を大きく下げられる可能性があります。
最高裁が示した判断基準
重要: この歩道状空地、かつては私道としての評価が認められませんでした。一審・二審は、接道義務を満たすための建築基準法上の道路に限られるとして、納税者の主張を退けていました。
しかし、最高裁(平成29年2月28日判決)は異なる判断を示しました。私道供用宅地について、法令上の制限のみならず、道路以外の用途への転用の難易等に照らして評価減の要否を判断すべきとし、「共同住宅が存在する限り道路以外に転用することは容易とは認め難い」として、評価減を認めない原審の判断には相続税法22条の解釈適用を誤った違法があると判示。原判決を破棄し、差し戻しました。
判決後の国税庁の対応
重要: 差戻し審で国側は更正処分の全部取消しを伝え、その後「歩道状空地の用に供されている宅地の評価」という質疑応答事例を公表しました。
そこでは、①開発行為の許可を受けるため行政指導で整備され、②歩道としてインターロッキング等の舗装が施され、③居住者以外の第三者の自由な通行の用に供されている歩道状空地は、財産評価基本通達24に基づき私道として評価するとされています。
不特定多数の者の通行の用に供されている場合は、ゼロ評価です。
まとめ
- 歩道状空地は私道として評価できる場合がある(3割評価またはゼロ評価)
- 最高裁は「転用の難易」など実質で判断すべきとした
- 相続・承継では評価額に大きく影響
評価の可否は個別事情で変わるため、不動産を含む相続・承継は早めに専門家へご相談ください。

(参考)
国税庁 質疑応答事例「歩道状空地の用に供されている宅地の評価」
財産評価基本通達24