こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
「自分のクリニックを、いつかあの子に継がせたい」 日々忙しく診療に当たる中で、
ふとそんな未来を思い描くことはありませんか?
医療法人の出資持分や土地建物など、先生が築き上げた大切な資産を次世代に繋ぐことは、
経営者としての「最後の大仕事」です。
奥様とも、「遺言書は書いたから、これで一安心だね」なんて話を
されているかもしれません。
でも、先生、耳の痛いお話をさせていただきます。
その「遺言書」、実は万全ではありません。
相続人の心一つで、先生の意志が、実務上は十分に反映されない結果になる
可能性があることを、ご存知でしょうか?
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
「遺言書」を上書きする、家族の合意
「遺言書さえあれば、自分の決めた通りに資産が分けられる」というのは、
残念ながら思い込みです。
相続人全員(および受遺者など)が合意してしまえば、
実務上は、相続人全員の合意による遺産分割協議が成立すると、
その内容で相続手続が進められることになります。
先生が「長男にクリニックを継がせる」と書いても、
相続人全員が「いや、売却して現金で分けよう」と合意してしまえば、
先生の想いはそこで途絶えてしまいます。
先生の意志は、残された家族の「その時の都合」に晒されているのです。
登記後にやり直すと「税務の地獄」が待っている
もし遺言の内容に不満があっても、一度遺言に基づいて名義変更(登記)をしてしまった後で
「やっぱりやり直そう」となると、悲劇が起きます。
相続税だけでなく、相続人間での資産のやり取りが「贈与」や「売買」とみなされ、
贈与税や所得税が多重に課税されるリスクが生じるケースも少なくありません。
良かれと思って行った再分割が、クリニックの資産を税金で食いつぶす結果になりかねません。
「遺言」を待たず、今、確実に「既成事実」を作る
遺言書が「先生の想い」なら、生前対策は「先生の実行力」そのものです。
家族の合意に左右されない、強固な承継を実現するには、
以下の多層的なアプローチが不可欠です。
- 生前贈与:承継を「不可逆な事実」にする
死後に財産を分けるのではなく、今、経営権(持分)を移転させる。
これにより、将来の遺産分割協議という不確定要素を、先生が生きている間に排除します。
- 生命保険:他の親族への「代償金」をあらかじめ準備する
長男にクリニックを継がせたいなら、他の兄弟には「現金」を渡す準備が必要です。
生命保険は、遺産分割の枠外で特定の相続人に現金を届けられる唯一の手段です。
- 資産の切り分け:争いの火種を物理的に分ける
クリニックの土地、建物、持分。
これらを混在させず、生前のうちに「誰が何を支配するか」を法的に確定させることで、
死後の介入の余地をゼロにします。
遺言書一通にすべてを委ねるのは、経営を運に任せるのと同じです。
確実に「意志」を貫くなら、今この瞬間の戦略的な資金移動と契約こそが、
最強の盾となります。
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(参考)
国税庁:No.4176 遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合