こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
多くの院長先生は、「厚生年金の保険料は、給与がある一定額を超えれば
それ以上は増えない」と認識されているのではないでしょうか。
しかし、令和7年6月に成立した改正年金法により、長らく固定されていた
厚生年金の標準報酬月額の上限が、令和9年(2027年)から段階的に引き上げられる
ことが決まりました。
これは高額な役員報酬を設定している先生方や、高所得の勤務医を雇用している
クリニック経営にとって、無視できないコスト増になる可能性があります。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
改正の背景:なぜ今、上限が上がるのか
厚生年金の保険料設定には、社会情勢の変化に合わせた負担と給付を維持するための
「2倍ルール」という決まりがあります。
これは、全国の被保険者の標準報酬月額の平均を算出し、その「平均額の2倍」が
現行の上限額(現在は65万円)を超えている状態が継続する場合、
政令によって新しい等級(上限)を追加できるという仕組みです。
現在の上限である65万円は、全被保険者の標準報酬月額の平均の約2倍に相当する額として
設定されてきました。
しかし、昨今の継続的な賃金上昇の流れを受け、被保険者全体の標準報酬月額は
全国的に増加傾向にあります。
その結果、平均報酬の2倍が65万円を超える状態が継続しているため、
この制度上のルールに基づき、実態に合わせた上限の引き上げが決定されたのです。
段階的な引き上げスケジュールと負担額の変化
上限額は一気に上がるのではなく、令和9年(2027年)から3年かけて
段階的に引き上げられます。
- 令和9年9月:上限65万円→68万円
- 令和10年9月:上限68万円→71万円
- 令和11年9月:上限71万円→75万円
例えば、月額報酬が75万円以上の方の場合、最終的な本人負担額は月額で
約9,100円上昇します(社会保険料控除前)。
重要なのは、厚生年金保険料は労使折半であるという点です。
つまり、法人(クリニック)側も同額の負担増となり、高所得者が多い組織ほど
経営インパクトは大きくなります。
メリットとしての「将来の年金額増加」
負担増は痛手ですが、一方でメリットもあります。
上限が上がることで、その分将来受け取れる年金額も増えることになります。
試算によれば、上限(75万円)の状態を10年間継続した場合、
将来受け取れる年金は月額で約5,100円(年金課税前)増額される見込みです。
また、報酬が65万円以下で保険料が変わらない方にとっても、
厚生年金全体の給付水準が底上げされるという波及効果があります。
経営者として今から備えるべきこと
この改正の実施は2027年9月からですが、役員報酬の決定や中期的な経営計画の
策定においては、今からこのコスト増を織り込んでおく必要があります。
特に医療法人化されている場合、理事長先生ご自身の役員報酬設定が社会保険料負担に
ダイレクトに影響します。
社会保険料の負担増をどうコントロールし、将来の資産形成とバランスさせるか。
ペンデル税理士法人では、年金法改正を見据えた役員報酬のシミュレーションや、
法人のキャッシュフロー最適化のご相談を承っております。
複雑な制度改正を味方につけ、安心できる経営基盤を共に築いていきましょう。
(ペンデルへのお問い合せ はこちらから)
(参考)
厚生労働省:厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて
日本年金機構:厚生年金保険の保険料計算について