こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
従業員が常時50人以上の事業場において法令で義務付けられている産業医の選任ですが、2026年8月より新たなルールが施行されました。産業医の辞任、解任または退任があった場合は、原則として所轄労働基準監督署長へ遅滞なく報告することが義務付けられました。ただし、新たな産業医の選任報告とあわせて辞任等を報告する場合は、別途の報告は不要です。
複数の分院を展開し、スタッフ数が拡大している医療法人やグループ経営を行うクリニックにとっては、コンプライアンス遵守の観点から必ず押さえておきたい最新の法改正です。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

■ 医療機関における産業医の選任基準と対象者
産業医の選任義務は「事業場単位」で適用されます。
クリニックの本院や分院、併設する介護施設などが別々の場所にある場合、それぞれの事業場で常時50人以上を満たすと個別に選任が必要です。この事業場の規模を判断する「50人」には、医師や看護師などの正職員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、派遣先で就業する派遣労働者なども含まれます。人員増加に伴い50人を超えた場合は、その日から14日以内に産業医を選任し、労基署へ届け出なければなりません。選任義務や届出義務を適切に履行しない場合には、法令上の罰則の対象となることがあります。
■ 産業医の重要な職務と医療現場での役割
産業医は、専門的な医学的知見からスタッフの健康管理を行います。
具体的な職務には、健康診断結果に基づく就業措置、長時間労働者や高ストレス者への面接指導、毎月1回(要件を満たせば2か月に1回)の職場巡視、衛生委員会への参加が含まれます。夜勤や交代制勤務など、不規則で心身の負担が大きい医療従事者の健康を守るため、産業医の専門的な視点は欠かせません。
■ 実効性のある健康管理体制の構築に向けて
産業医を選任するだけでは義務を果たしたことにはなりません。
医療法人は、産業医に対して「従業員から必要な情報を収集する権限の付与」や「長時間労働者に関する情報提供」などを行う必要があります。自院の業務実態をよく理解し、医療現場の特殊性に配慮できる産業医を選任し、連携を図ることが労働者の健康確保と人材定着の双方につながります。
おわりに
私たちペンデルグループでは、税理士法人と社会保険労務士法人が連携し、医療機関の成長フェーズに合わせた産業医選任のサポートや、衛生委員会の立ち上げ、安全衛生管理体制の構築をご支援します。
社会保険労務士法人の顧問先様であれば、このような各種人事労務に関するご相談に随時対応可能です。クリニックの分院展開や事業承継など、規模拡大を見据えた強固な組織づくりに不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

(参考)
厚生労働省:労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要について(PDF)