こんにちは、ペンデル税理士法人 医業経営支援部 親泊です。
前回は、「税務調査ってなに?」をお話しさせていただきました。
今回は、「税務調査の流れと対応」をお話いたします。
お忙しい先生で、コラムを読み込んで対策する時間がないけれど、
心配だから一度相談に乗ってほしい!という先生は、
まずはご相談いただければ、私たちが可能な限りのサポートをさせていただきます。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
税務調査の具体的な流れと対応
税務調査って一体どんな感じで進むのか、具体的な流れを知っておけば、
いざ調査が来た時にも慌てずに対応できます。
この章では、税務調査がどんなプロセスで進んでいくのか、
そしてその時にどう対応すればいいのかを詳しく見ていきましょう。
調査前の準備
まず、税務調査の大半は事前連絡がある任意調査です。
税理士が代理申告している場合、税務署から顧問税理士に
「〇月〇日から〇日間、調査に伺いたいのですが…」という連絡があり、
その日程をもとに調整が行われます。
この連絡はだいたい 1か月程度前に来ることが多いです。
顧問税理士がおらず、不安な場合は税理士を探すことをおすすめします。
この時、日程に問題がある場合は税務署に相談して変更してもらうことも可能です。
例えば「月初めは保険請求業務で忙しい」とか、
「この日は院長の予定が詰まっている」などの理由を伝えれば、
だいたい調整してもらえます。
ここで大事なのは、
どのような資料を備えるべきか、不備や漏れがないか顧問税理士と打合せをすることです。
調査当日に聞かれそうなことや、税務署と見解が食い違いそうな項目についても
想定しておきましょう。
調査当日の準備
税務調査の日が近づいてきたら、調査当日に備えていくつかの準備が必要です。
特に重要なのは、帳簿書類や証拠書類の整理です。
以下のような書類をすぐに取り出せるようにしておきましょう。
総勘定元帳(調査対象期間分:通常は過去3年分)
領収書や請求書などの証拠書類
税務署から求められそうな資料
調査官は、これらの書類を細かくチェックします。
また、金庫や机の引き出しなども整理しておきましょう。
特に、仕事に関係ないものが見つかると、
不要な疑いをかけられることもあるので注意が必要です。
さらに、スタッフにも税務調査があることを伝えておきましょう。
調査中にスタッフに質問が行われることもあります。
特に経理担当者や事務員には、しっかりとした対応が求められる場面があるので、
対応に慣れていない場合は、事前に打ち合わせをしておくと安心です。
「分からないことは想像で答えない」「個人的な意見を言わない」ということを
しっかり伝えておきましょう。
調査当日の対応
税務調査の当日は、平日で診療などの業務もありますが、
調査官が来たら院長としても少しは立ち会う必要があります。
とはいえ、すべての時間を付き合うわけにはいきません。
だいたい最初の1時間程度と、調査の終わりに顔を出すくらいで十分です。
この時、調査官に対しては協力的な姿勢を見せることが大切です。
税務署としても、調査を円滑に進めたいと思っていますので、
ここで好印象を与えることが後の対応にも影響します。
調査官がまず最初に行うのは、院長からの事業概況のヒアリングです。
どういう事業を行っているのか、医院の特徴や運営方針などを説明します。
この際、税務に対してきちんと対応していることをアピールするのもポイントです。
税務署はこのヒアリングを通じて、院長がどのくらい税務に関心を持っているかを
見ています。納税意識が高いことを示すのは、調査全体にいい影響を与えます。
質問には冷静に対応
その後、実際に帳簿書類の確認が行われます。
調査官は、総勘定元帳や契約書、源泉徴収簿などを詳しくチェックします。
この時に重要なのは、調査官からの質問に対して冷静に対応することです。
分かる範囲で正確に答えることが大切ですが、必要以上に情報を提供する必要はありません。
答えが分からない時は、「後で確認して回答します」と言えばOKです。
また、調査官から「資料のコピーをください」と言われた場合は、
3部コピー(税務署、医院、税理士用)を用意するとスムーズに進みます。
自分から進んで情報を出すのではなく、
調査官からの質問に対して適切に対応することがポイントです。
特に気をつけたいのが、調査終了間際の質問です。
調査が終わりに近づくと気が緩みがちですが、このタイミングで
新たな問題が浮上することもあります。最後まで油断せずに対応しましょう。
事前に予測して対応を準備
税務調査の前に、どんな項目が指摘される可能性があるのかを
あらかじめ予測しておくのも重要です。
特に、以下の項目はよくチェックされるポイントなので、
事前に対応策を考えておきましょう。
現金の管理状況(現金出納帳と実際の現金残高が合っているか)
収入の計上漏れがないか
患者の自己負担金や自由診療の収入管理
技工所からの納品書や予約帳の確認
特に、自由診療の収入管理や技工指示書の対応など、
漏れがないようしっかり確認しておくことで、スムーズに調査を乗り切ることができます。
調査が終わった後も油断しない
税務調査が終わったからといって、それで全てが終了ではありません。
調査が終了した後も、税務署から「追加で確認したいことがあります」といった連絡が
来ることもあります。
その際には、再度顧問税理士と相談しながら対応を進めましょう。
また、調査中に指摘を受けた点は、
自主的に修正申告を行うかどうかを決める必要があります。
納得できる内容であれば、早めに修正申告を行い、
不足分の税金を納付することで問題を解決できます。
しかし、納得できない指摘については、しっかりと話し合いをすることが大切です。
税務署との間で見解が分かれる場合もあるので、ここでも税理士の力を借りましょう。
シリーズ2回目はここまでです。
今回は、「税務調査の流れと、対応方法」をお話しさせていただきました。
次回は、「税務調査官が気にするポイント」をお話しさせていただきます。
ご不明な点やご不安な点がございましたら、いつでもご連絡ください。