こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部の親泊です。
日々の診療、本当にお疲れ様です。患者さんの笑顔は何よりのやりがい、そうですよね。
しかし、クリニックを継続して発展させるためには、経営者という役割も必要不可欠です。
そこで今回は、院長のクリニックの財産状態を明らかにし、
経営の舵取りを強力にサポートする魔法のツール、「貸借対照表(B/S)」についてお話させてください。
「貸借対照表?税理士に丸投げしてるから、よくわからん!」
…そんな声が聞こえてきそうです。ですが、ちょっと待ってください!
貸借対照表は、定期的に撮影したCT画像のようなもの。
1年前と現在のCT画像と見比べるように、これを読めるようになると、
経営の隠れた課題やチャンスが見えてきます。
「そんなこと言われても、会計のことはさっぱり…」
大丈夫です!今回のコラムでは、難しい会計用語は極力使わず、
院長が貸借対照表を読めるようになるまで、丁寧にお伝えいたします。
ぜひ、最後までお読みください。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

貸借対照表(B/S)って何?
さて、貸借対照表とは何か、より深く掘り下げていきましょう。
貸借対照表は、英語の Balance Sheet(バランスシート) の頭文字をとって B/S とも呼ばれます。
たとえば、院長が新たにクリニックを開業するとします。
開業にあたっては、様々な費用がかかりますよね。
物件の契約金、医療機器の購入費用、内装工事費など、これらすべては「資産」として
貸借対照表に計上されます。
つまり、開業時の貸借対照表は、院長がクリニックに
どれだけの財産を投じたかを示すものと言えるでしょう。
一方、開業にあたっては、自己資金だけでなく、金融機関からの借入金を利用する場合も
あるでしょう。この借入金は「負債」として計上されます。
つまり、負債は、将来返済しなければならない金額を示します。
そして、資産から負債を差し引いたものが「純資産」です。
開業時には、この純資産は院長の自己資金に相当します。
つまり、純資産は、院長がクリニックにどれだけの持ち分を持っているかを示すのです。
開業後、クリニックの経営が軌道に乗ってくると、利益が積み上がっていきます。
この利益は、純資産に加算されていきます。
つまり、純資産の増加は、クリニックの成長を示す重要な指標となります。
ここで、貸借対照表の基本的な構造を改めて確認しておきましょう。
貸借対照表は、左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」が記載されます。
そして、この左右の合計金額は必ず一致します。
これは、資産と負債・純資産が常にバランスを保つという、貸借対照表の大原則を示しています。
このバランスが崩れるということは、会計上の誤りがあるか、もしくはクリニックの経営に
重大な問題が発生している可能性を示唆します。
したがって、貸借対照表は、クリニックの健康状態を常に把握するための重要なツールなのです。
さらに、貸借対照表は、クリニックの財産状態を「ある時点」で示すものです。
つまり、貸借対照表は、過去の経営成績を評価するだけでなく、
将来の経営戦略を立てる上でも重要な役割を果たします。
たとえば、貸借対照表の資産の部を見ることで、現在のクリニックが
どのような財産を持っているかを把握できます。
もし、老朽化した医療機器が多い場合、将来的な買い替えを検討する必要があるかもしれません。
また、負債の部を見ることで、現在のクリニックがどれだけの借金を抱えているかを
把握できます。もし、借入金が多い場合、返済計画を見直す必要があるかもしれません。
そして、純資産の部を見ることで、現在のクリニックの自己資本の状況を把握できます。
もし、自己資本が少ない場合、資金調達を検討する必要があるかもしれません。
このように、貸借対照表は、クリニックの過去、現在、そして未来を映し出す鏡のようなものです。
貸借対照表を読み解くことで、院長はクリニックの経営状況を正確に把握し、
より良い経営判断を下すことができるでしょう。
資産・負債・純資産、それぞれの意味
貸借対照表を構成する3つの要素、「資産」「負債」「純資産」について、
より深く掘り下げていきましょう。
まず、資産とは、クリニックが所有する財産であり、将来的にクリニックに利益をもたらす
可能性のあるものです。
資産は、大きく分けて「流動資産」と「固定資産」に分類されます。
流動資産とは、短期間で現金化できる資産のことで、現金、預金、売掛金などが含まれます。
流動資産は、クリニックの短期的な支払い能力を示す重要な指標です。
一方、固定資産とは、長期間にわたって使用される資産のことで、
医療機器、建物、土地などが含まれます。
固定資産は、クリニックの長期的な収益力を支える重要な資産です。
次に、負債とは、クリニックが抱える借金であり、将来的にクリニックからお金が出ていくものです。
負債も、大きく分けて「流動負債」と「固定負債」に分類されます。
流動負債とは、短期間で返済しなければならない借金のことで、買掛金、未払金、
短期借入金などが含まれます。
流動負債は、クリニックの短期的な支払い義務を示す重要な指標です。
一方、固定負債とは、長期間にわたって返済する借金のことで、長期借入金、社債などが
含まれます。固定負債は、クリニックの長期的な資金調達を示す重要な指標です。
そして、純資産とは、資産から負債を差し引いたもので、クリニックのオーナーである
院長の持ち分(財産)を示します。純資産は、クリニックの過去の利益の蓄積であり、
クリニックの財政的な安定性を示す重要な指標です。
純資産は、大きく分けて「資本金(基金・事業主借など)」と「利益剰余金」に分類されます。
資本金とは、開業時に院長が出資した金額のことです。
利益剰余金とは、過去の利益の蓄積のことです。
これらの3つの要素の関係は、前述の通り、次の等式で表されます。
資産=負債+純資産
この等式は、貸借対照表の基本であり、常に成り立っています。
この等式を理解することで、クリニックのお金の流れをより深く理解し、
経営判断に役立てることができるでしょう。
たとえば、資産が増加した場合、それはクリニックの収益が増加したか、
もしくは借入金が増加したことを示します。
一方、負債が増加した場合、それはクリニックの借金が増加したことを示します。
そして、純資産が増加した場合、それはクリニックの利益が増加したか、
もしくは増資が行われたことを示します。
このように、貸借対照表の各要素の増減を分析することで、
クリニックのお金の流れを追いかけ、経営状況をより深く理解することができるのです。
貸借対照表から何がわかる?
貸借対照表は、単なる数字の羅列ではありません。
そこには、クリニックの経営状態に関する様々なメッセージが隠されています。
たとえば、貸借対照表の流動比率(流動資産÷流動負債)を分析することで、
クリニックの短期的な支払い能力を把握できます。
一般的に、流動比率が2以上であれば、短期的な支払い能力に問題はないと判断されます。
また、貸借対照表の固定比率(固定資産÷純資産)を分析することで、
クリニックの長期的な安定性を把握できます。
一般的に、固定比率が1以下であれば、長期的な安定性に問題はないと判断されます。
さらに、貸借対照表の自己資本比率(純資産÷総資産)を分析することで、
クリニックの自己資本の割合を把握できます。
一般的に、自己資本比率が高いほど、クリニックの経営は安定していると判断されます。
これらの指標を分析することで、クリニックの財務状況を客観的に評価し、
経営改善の必要性を判断することができます。
また、貸借対照表を過去数年分比較することで、クリニックの経営状況の推移を把握できます。
もし、売上高は増加しているにもかかわらず、利益が減少している場合、
コスト管理に問題がある可能性があります。
このように、貸借対照表を多角的に分析することで、
クリニックの隠されたメッセージを解き明かし、経営改善に繋げることができるのです。
貸借対照表、ここだけは見ておきたい!
貸借対照表の中で、特に重要なのが「純資産」です。
純資産は、クリニックの財政的な安定性を示す重要な指標であり、
クリニックの経営の土台となります。
たとえば、純資産がマイナスの場合、
クリニックは債務超過の状態にあり、早急な経営改善が必要です。
債務超過とは、クリニックの負債が資産を上回っている状態であり、
この状態が続くと、クリニックは倒産する可能性があります。
一方、純資産が十分に積み上がっている場合、
クリニックは将来の成長に向けて、積極的に投資を行うことができます。
自己資本が充実しているクリニックは、金融機関からの信用力も高く、資金調達も容易になります。
また、純資産は、クリニックのオーナーである院長の持ち分を示すものでもあります。
つまり、純資産が多いほど、院長のクリニックに対する持ち分が多いということです。
純資産は、貸借対照表の右下に表示されています。
もし、院長が貸借対照表を読む時間がない場合でも、
この純資産の金額だけは確認するようにしましょう。
純資産は、クリニックの経営のバイタルモニタであり、常にその状態を把握しておく必要があります。
おわりに
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
B/Sは、一見難解に見えるかもしれませんが、実はクリニックの経営を成功に導くための
強力なツールです。
ぜひ今回のコラムを参考に、貸借対照表を読み解き、クリニック経営にお役立てください。
「でも、やっぱり難しそう…」
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