こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
日々の診療、誠にお疲れ様です。地域医療を支えるため、
全力で走っておられる先生方に心より敬意を表します。
さて、開業して数年が経ち、
クリニックの経営もようやく軌道に乗ってきた頃ではないでしょうか。
しかし、クリニックに貯まってきた利益を、ただ普通預金に置いているだけで
「本当にこれでいいのかな?」と、ふと考えたことはありませんか?
「将来の分院展開や医療機器の更新、そして20年後、30年後の先生ご自身の老後や
家族のことまで考えると、もっと賢いお金の残し方があるんじゃないか…?」
そんな漠然とした不安、お持ちではありませんか?
ご安心ください!このコラムを読めば、そのモヤモヤは、たちまちスッキリ解消します!
難しそうに聞こえる医療法人の資産形成についても、
できるだけ分かりやすく整理して解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

そもそも「医療法人の資産形成」って、何が特別なの?
「医療法人化もしたし、利益も出てきた。
株式会社みたいに、ここから役員への配当とかもできるのかな?」…
先生、実はそこに医療法人ならではの大きな特徴があります。
医療法人は、株式会社と違って「非営利性」が求められており、
法律(医療法第54条)によって
利益を配当(剰余金の配当)することが禁止されています。
つまり、利益はクリニックの内部に留保し続けるのが基本ルールなのです。
「えっ!じゃあ、貯まったお金はずっと法人に置きっぱなし?」役員報酬や退職金、
福利厚生など適法な方法で個人に移すことは可能ですが、基本的には法人に留保されます。
だからこそ、その大切なお金をただ寝かせておくのではなく、
法人の資産として、いかに賢く、安全に、そして大きく育てていくかという
「攻めの資産防衛」が、院長(経営者)にとって非常に重要なテーマになるのです。
「節税保険」だけじゃない!未来を作るお金の育て方
「法人のお金」と聞くと、いわゆる「節税保険」を思い浮かべる先生も多いかもしれません。
確かに、保険料を損金にして目先の税金を繰り延べる手法は過去に広く行われてきました。
しかし、2019年の税制改正でその効果は限定的になりました。
これからの時代に求められるのは、「未来を作るお金の育て方」です。
つまり、短期的な節税ではなく、クリニックの財務基盤を強化し、20年後、30年後の
事業展開や先生ご自身のライフプランを実現するための、長期的な資産形成です。
そこで情報提供したいのが、 変額保険という選択肢です。
これは、支払った保険料を原資に、米国株式(S&P500)や世界株式をはじめ、
国内外の債券やREIT(不動産投資信託)など、複数選択肢の投資信託で運用する保険です。
支払った保険料は損金にはなりませんが、保険料の大部分がクリニックの
資産(保険積立金)として貸借対照表に計上されます。
銀行からの融資評価においてもプラスに働き、将来の分院展開など、
次の一手を打つための力強い土台となります。
要注意!知っておきたい3つの法人保険タイプ
法人で加入する保険には、主に3つのタイプがあります。それぞれの特徴を知ることが、
最適な戦略を立てる第一歩です。
- 定期保険
一定期間の死亡保障を確保する、いわゆる「掛捨て」タイプ。
保険料が比較的安く、損金算入できる部分もありますが、資産は残りません。
短期的な事業保障(借入金対策など)に向いています。
- 養老保険
死亡保障と貯蓄の両方の性質を持ち、満期時には満期保険金が受け取れます。
従業員の福利厚生(退職金準備など)で活用されることが多いです。
- 終身保険
一生涯の死亡保障が続く貯蓄性の高い保険です。解約返戻金が着実に増えていくため、
長期的な資産形成や、将来の役員退職金準備、事業承継対策の核となる保険です。
今回、情報提供しているのは、このタイプの保険です。
院長のギモンを解消!未来の資産戦略Q&A
ここまで読んで、「なるほど…でも、具体的にはどうなの?」という疑問も
湧いてきた頃でしょう。
若手の院長からよくいただく質問をまとめてみました!
- Q1.「変額」って聞くと、元本割れが怖いのですが…?
- A1.はい、その通りで運用リスクがあり、元本保証ではありません。
しかし、この戦略は20年、30年といった超長期の運用を前提としています。
過去の実績では、米国株式や世界株式などの成長が期待される資産を
長期で運用した場合、元本割れのリスクは大きく低減するというデータがあります。
また、万が一のことがあった場合の死亡保険金には一定の最低保証があり、
まったくゼロになることはありません。
- Q2.保険料が損金にならないなら、メリットが少ないのでは?
- A2.目的が違います。
このプランは「税金を減らす」ことではなく「法人の純資産を増やす」ことが目的です。
貸借対照表(B/S)の資産の部に「保険積立金」として計上されるため、
クリニックの財務体質は強固になります。
これは、将来の融資審査などで有利に働く場合があります。
- Q3.20年後、30年後の退職金や相続なんて、まだピンとこないのですが…?
- A3.これは、先生の「未来の選択肢」を増やすための準備です。
積み立てた資産は、条件を満たせば退職する際に、現金ではなく保険契約そのものを
法人から個人に名義変更をして、ご自身の個人資産として受け取る方法(現物支給)も
検討できます。
個人に移した後は、そのまま運用を続けて老後資金にしたり、
一部を解約して現金化したり、万が一の際の死亡保険金として家族に残したりと、
その時の状況に応じて最も有利な使い方が選べます。
早く始めるほど、時間を味方につけて資産を大きく育てることができます。
おわりに
長い時間、お付き合いいただき、誠にありがとうございました。
先生にとって、今は目の前の患者様とクリニックの経営に全力を注ぐ毎日だと思います。
しかし、10年後、20年後、そして30年後の未来を見据えて、今から打てる最善の一手を
考えておくことも、経営者としての大切な務めです。
今日お話しした資産戦略は、クリニックの成長を後押しし、
先生とご家族の未来を盤石にするための土台作りです。
「なるほど、考え方は分かったけど、具体的にどう進めれば…」
「自分たちだけで判断するのは不安だ」そう感じられたなら、
ぜひ、私たちペンデル税理士法人にご相談ください!
私たちは、日々の税務会計だけでなく、先生のライフプラン全体を見据えた
長期的な資産防衛・形成プランの立案をサポートいたします。
また、今回ご紹介したような保険戦略の実行にあたり、
クリニックでの実績が豊富なファイナンシャル・プランナー(CFP)のご紹介も可能です。
先生のビジョンを共有し、最適な形で実行までをワンストップで支援いたします。
大切なクリニックを、次のステージへと導くお手伝いを、ぜひ私たちにお任せください。