こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
クリニック経営において、11月から12月にかけての大きな負担となるのが「年末調整」です。
院長先生や事務長が自ら計算を行っているケースも少なくありませんが、
税制は毎年複雑化しており、計算ミスや控除漏れのリスクが高まっています。
特に令和7年(2025年)の年末調整では、新たに「特定親族特別控除」が追加されるなど、
扶養親族に関する控除体系が拡張されています。
本記事では、最新の改正ポイントである「特定親族特別控除」を中心に、
クリニックの実務担当者が押さえておくべき変更点を解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
「特定親族特別控除」の新設とは?
これまで慣れ親しんできた「扶養控除」の申告書様式が、令和7年分から変更されています。
従来の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に加え、新たな控除区分が登場しました。
最大のトピックは、「特定親族特別控除」の創設です。
- 対象となる親族
生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(配偶者・青色事業専従者を除く)が
対象です。大学生の子供などがこれに該当するケースが多いでしょう。
- 所得要件の変更
対象となる親族の合計所得金額が「58万円超123万円以下」
(給与収入のみなら103万円超188万円以下に相当)である場合に、
この控除が適用されます。
従来、扶養親族の所得制限(給与収入103万円以下など)を超えて働いている子供は、
扶養控除の対象外となっていました。
しかし、この新制度により、一定の所得範囲内であれば新たな控除が受けられるようになります。
結果として、「年収の壁」を意識して働き方を調整している学生にも、
一定範囲で控除が適用されやすくなる制度と言えます。
申告書の様式変更と実務上の注意点
この改正に伴い、従業員に記載してもらう申告書の名称も変更されています。
- 旧: 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 …
- 新: 給与所得者の基礎控除申告書 兼 … 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 …
名称だけでなく、令和8年分の「扶養控除等(異動)申告書」には
「特定親族」のチェック欄が新設されるなど、記載項目が増加しています。
クリニックのスタッフ、特に扶養者の方は注意が必要です。
これまで扶養控除の所得要件を超えてしまうと控除が受けられませんでしたが、
新制度により一定範囲なら控除を受けられる場合があります。
周知徹底を行わないと、スタッフが損をする(=クリニックへの不信感に繋がる)可能性が
あります。
ご自身で対応されている院長へ
年末調整ソフトを導入している場合、アップデートを行えば計算自体は自動化されるでしょう。
しかし、入力する「元データ(申告書の内容)」が間違っていては意味がありません。
- スタッフへの制度周知(特に大学生の子供がいる家庭)
- 正しい申告書の回収とチェック これらを繁忙期である年末の診療の合間に行うのは、多大なコストです。
ペンデル税理士法人では、医療機関特有の給与体系や
雇用形態(常勤、非常勤、スポット医師など)を熟知したスタッフが、
顧問先へ、正確かつ迅速な年末調整業務をサポートしております。
「今年の年末調整は不安だ」と感じられたら、ぜひ一度ご相談ください。
(参考)
国税庁:年末調整がよくわかるページ(令和7年分)
国税庁:令和7年分 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書