こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
令和8年度(2026年度)は、クリニック経営者にとって「財布の入り口と出口」が
同時に動き始める年です。所得税の基礎控除等が物価高に応じて引き上げられる一方で、
4月からは「子ども・子育て支援金」という新たな社会保険料負担が始まります。
これらは単なる数字の変更ではありません。
院長自身の所得、そしてスタッフの「手取り額」に直結する、経営上の戦略課題です。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
基礎控除の引き上げと「支援金」の拠出
基礎控除等の引き上げ
物価上昇に対応し、税制改正大綱では、所得税の基礎控除等について、
合計所得金額2,350万円以下の個人を対象に4万円引き上げる方向性が示されています
(令和8年分以降)。
さらに、所得水準によっては、特例措置を含めて課税最低限が
最大104万円引き上がるケースもあります。
子ども・子育て支援金の創設(実質的な負担増)
令和8年4月から導入。被用者保険加入者については、医療保険料とあわせて
労使折半で負担する仕組みが予定されています。
支援金率は当初0.24%から段階的に引き上げられ、1人あたりの負担額は
平均月額450円程度から始まる見込みです。
これは、控除による減税効果を打ち消しかねない「社会保険料の純増」です。
「見えない人件費増」が手取りを削る
支援金は「社会全体で支える連帯」と美しく語られますが、院長から見れば
「拠出金」という名のコスト増です。
スタッフ1人あたり数百円であっても、全従業員分を労使折半で負担し、
かつ毎月の給与計算に組み込む事務コストが発生します。
また、所得税の控除引き上げは歓迎すべきですが、院長個人にとっては、その恩恵よりも
「支援金」による社会保険料負担の増加が重くのしかかる可能性があります。
税制面でも、復興特別所得税の一部が「防衛特別所得税」へ付け替えられ、
期間も伸びるなど仕組みが複雑化しており、単なる「減税」と楽観視するのは危険です。
2年後を見据えた財務シミュレーションを
給与明細の「可視化」検討
支援金の控除を明細書にどう表示するか(「健康保険料のうち支援金〇円」など)、
スタッフの理解を得るための準備を今から想定しておきましょう。
人件費予算の再策定
支援金率の段階的引き上げ(令和10年度には0.4%予定)を見越し、
中長期のキャッシュフローに与える影響を再計算しましょう。
所得圧縮と資産形成の最適化
高所得層の院長にとって、住宅ローン控除などの一般的な減税策は適用外となるケースが
大半です。だからこそ、拡充されるNISAの活用や、小規模企業共済・iDeCoといった
「所得控除」をフル活用し、課税所得を戦略的にコントロールすることが不可欠です。
国は物価高を理由に数字を動かしますが、それがクリニックにとって
「実質的なプラス」になるかは別問題です。
ペンデル税理士法人は、税制改正の荒波の中で院長の資産とクリニックの利益をどう守るか、
客観的かつ戦略的な視点でアドバイスいたします。
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(参考)
財務省:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)
こども家庭庁:子ども・子育て支援金制度 概要解説