ペンデルも創立から早30年、昔から顧問をお受けしているクリニックの先生から
「後継者が見つからなくて困っている」「第三者承継を考えているけど不安が多い」といった
相談が増えてきています。
後継者不足や、医療法人の相続対策を考えることは、これから先、どのクリニックでも
避けられない課題ですね。
そこで今回は、「個人診療所・医療法人の承継における注意点」を2部構成で解説します。
まず、最初に承継の基本として、メリット・デメリットを理解しておきましょう。
承継には、クリニックの種類や相手によって異なる特徴があります。
例えば、親族に承継するか、第三者に譲るかで、準備すべきことや考慮すべきポイントが
変わってきますので、詳しくは顧問の税理士にご相談ください。
当然、ペンデル税理士法人 医業経営支援部でも相談をお受けしております。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

承継のメリット・デメリット
まずは、承継による売り手側と買い手側の主なメリット・デメリットをチェックしてみましょう。
売り手側のメリット
スタッフの雇用を継続できる
長年一緒に働いてきたスタッフをそのまま雇用できるため、彼らの生活を守ることができます。
患者さんが安心して通院できる
承継後も、通い慣れた診療所に安心して通えるのは患者さんにとって大きなメリットです。
経営責任から解放される
クリニックの運営は大きな責任を伴いますが、承継によって経営から退くことで、
精神的な負担が軽くなります。
新しい生活を楽しめる
引退後は自由な時間を楽しみ、新しいライフスタイルをスタートできます。
売り手側のデメリット
承継者探しに時間がかかることも
親族に承継する場合、適切な後継者がいなかったり、承継の準備に時間がかかることが
あります。先生がお考えの期限までに候補者が決まらなければ、『閉院』も検討することに
なります。
診療方針の変更の可能性
新しい院長が診療方針を変更することもあり、それがスタッフや患者さんに影響を
与えることも考えられます。契約前に診療方針についてしっかり確認するか、
引き継いだ後は次の先生に完全に任せるか、お考えいただければと思います。
買い手側のメリット
既存の患者を引き継げる
新規開業と違って、すでに確立された患者層を持つ診療所を引き継ぐことで、
収入が安定しやすく、リスクも少ないです。
初期投資が少なくて済む
医療機器や内装、さらにはスタッフもそのまま引き継げると、開業時の初期費用を
大幅に削減できることがあります。
診療所の認知度がある
すでに地域で知られた診療所を引き継ぐことで、宣伝費用や新規患者の獲得にかかる労力を
減らせます。
買い手側のデメリット
前院長との比較
患者や地域の方々が前院長の診療方針やスタイルに慣れているため、新しい院長が
その期待に応えることが求められます。早期にスタイルを変えると、患者が他の医療機関に
流れることもあります。
設備更新や修繕に費用がかかることも
引き継ぐ医療機器や内装が古く、修繕や更新に予想外の費用がかかることもあります。
引き継ぐ前に、機器の入れ替えや改装工事にどれくらいの資金が必要なのか、
しっかり考えることが大事ですね。
前編は以上となります。
後編では、個人診療所と医療法人の診療所、それぞれの特徴や承継方法のポイントについて、
より詳しくお伝えいたします。
診療がご多忙でいらっしゃる中、承継についてお考えの際は、
お気軽にペンデル税理士法人 医業経営支援部までご相談ください。
皆さまの将来をサポートさせていただきます。