こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部の親泊です。
院長、日々の診療お疲れ様です!クリニック経営、思い描いた通りに進んでいますか?
今回のコラムでは「損益計算書(P/L)」をテーマにしたいと思います。
「損益計算書は税理士にお任せしているから大丈夫!」
もし、院長がそう思っているなら、ちょっと待った! です。
確かに、専門的な知識が必要な損益計算書の作成は、税理士に任せるのが一般的です。しかし、損益計算書は、クリニックの健康診断書。経営状態が丸裸になる、いわば「クリニックのカルテ」です。
このカルテ、見方を知れば、クリニックの弱点も強みも一目瞭然です。
「損益計算書って、なんだか難しそう…」と思っている院長も、ご安心ください!
このコラムでは、できるだけ難しい専門用語は使わず、
多忙な院長に向けて、損益計算書を徹底的にわかりやすくお伝えします。 是非、クリニック経営にお役立てください。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

損益計算書(P/L)って何?
損益計算書とは一体何なのでしょうか?「もちろん知ってるよ!」という院長も、「名前は聞いたことあるけど…」という院長も、まずは損益計算書の基本の「き」からおさらいしましょう。
損益計算書とは、一定期間のクリニックの経営成績を示す書類です。
具体的には、売上(医業収益)から費用を差し引いて、利益(損失)を計算します。
損益計算書を見ることで、クリニックがどれだけ儲かっているのか、
どこにどれだけの費用がかかっているのかを把握することができます。
「でも、なんでそんなものが必要なの?」
そう思いますよね。
例えば、先生がマラソンランナーだとしましょう。
タイムを計らずに走っていたら、自分の実力がどれくらいなのか、わからないですよね?
損益計算書は、マラソンでいうところのタイム計測と同じ。 クリニックの現状を把握し、目標達成のためにどうすればいいか、戦略を立てるための重要なツールなのです。
損益計算書(P/L)のココを見れば経営状態がわかる!
損益計算書には、様々な項目がありますが、まず確認すべきなのは以下の項目です。
医業収益(売上)
クリニックの売上にあたります。患者数は増えているか?単価は上がっているか?どんな治療が人気なのか?これらの情報を分析することで、売上アップのためのヒントが見つかります。
医業原価(原価)
医療材料費や医薬品費など、売上を得るために直接かかった費用です。
販売費及び一般管理費(販管費)
クリニックの運営にかかった費用です。無駄なコストはないか?コスト削減できるところはないか?費用を抑えることができれば、利益は自然と増えます。他クリニックと比較することで費用が平均より多くかかっている項目が分かります。
医業利益(営業利益)
医業収益から医業費用を差し引いた利益です。目標とする利益は達成できているか?他クリニックと比較してどうか?利益を分析することで、クリニックの収益性を評価できます。
当期純利益
法人クリニックの場合、法人税や住民税及び事業税を差し引いた、クリニックの最終的な利益です。
これらの金額をチェックすることで、クリニックの収益性や費用構造を把握することができます。
例えば、医業利益が減少している場合、売上が減少しているのか、それとも費用が増加しているのかを分析する必要があります。原因を特定することで、具体的な改善策を講じることができます。
これらのポイントをしっかり押さえれば、院長も損益計算書マスターです!
損益計算書をさらに深く読み解く!比率で見る重要ポイント
損益計算書の金額を見るだけでも多くのことが分かりますが、比率を見ることで、さらに深くクリニックの経営状況を把握することができます。比率は、金額だけでは見えてこない、クリニックの収益性や効率性を示す重要な指標です。
例えば、売上総利益率。これは、売上高に占める売上総利益の割合を示すもので、クリニックの粗利率とも言えます。この比率が高いほど、クリニックは効率的に利益を生み出していると言えます。逆に、この比率が低い場合は、医療材料費や医薬品費などの見直しが必要かもしれません。
また、人件費率も重要な指標の一つです。これは、売上高に占める人件費の割合を示すもので、クリニックの人件費負担の大きさを把握することができます。この比率が高い場合は、人員配置や給与体系の見直しが必要かもしれません。
これらの比率を同科目他クリニックの平均値と比較することで、クリニックの強みや弱みを客観的に評価することができます。例えば、売上総利益率が同業他社よりも高い場合は、クリニックの医療サービスの質が高いか、コスト管理が優れている可能性があります。逆に、人件費率が他クリニックよりも高い場合は、人員配置や給与体系の見直しが必要かもしれません。 比率分析は、クリニックの経営改善に役立つだけでなく、将来の成長戦略を立てる上でも重要な役割を果たします。例えば、売上総利益率が向上している場合は、新たな医療機器の導入やスタッフの研修など、将来の投資計画を立てやすくなります。
比率分析を行う際は、単に数値を比較するだけでなく、その背景にある要因を分析することが重要です。例えば、売上総利益率が低下している場合は、医療材料費や医薬品費の高騰だけでなく、競合クリニックの影響や患者数の減少など、様々な要因が考えられます。これらの要因を分析することで、より効果的な改善策を講じることができます。
損益計算書を経営改善にフル活用!具体的な改善例!
P/L分析の結果は、クリニックの経営改善に直接つながる貴重な情報源です。しかし、分析結果をただ眺めているだけでは、何も変わりません。重要なのは、その結果を具体的な改善策に落とし込み、実行に移すことです。
例えば、売上総利益率が平均値よりも低い場合、まずは原因を特定する必要があります。医療材料費や医薬品費が高騰しているのか、それとも患者単価が低いのか。原因によって、対策は大きく異なります。
もし、医療材料費や医薬品費が高騰している場合は、仕入れ先の見直しや共同購入の検討、あるいは在庫管理の徹底など、コスト削減に向けた具体的なアクションが必要です。一方、患者単価が低い場合は、自由診療の導入や単価の高い治療へのシフト、あるいは患者満足度を高めてリピート率を上げるなど、売上アップに向けた施策が考えられます。
また、人件費率が高い場合は、人員配置の見直しや業務効率化の検討、あるいはスタッフ教育の強化など、人件費の適正化に向けた対策が必要です。スタッフ一人ひとりの能力を最大限に引き出し、無駄な残業を減らすことで、人件費を抑えつつ、医療サービスの質を向上させることができます。 P/L分析の結果に基づいた改善策を実行する際は、目標を明確に設定し、進捗状況を定期的に確認することが重要です。目標達成までのプロセスを可視化し、スタッフ全員で共有することで、モチベーションを維持し、目標達成に向けて一丸となって取り組むことができます。
おわりに
院長、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
今回のコラムでは、損益計算書を徹底的に解説し、他クリニックとの比較という新たな視点も取り入れました。損益計算書はしっかりと読み取れば、クリニックの経営状況を把握だけでなく、クリニックの未来を切り拓くための強力な武器となります。
このコラムで得た知識を、ぜひ院長のクリニックで実践してみてください。
「でも、うちのクリニックの場合はどうすれば…?」
「いまの税理士はそこまで相談に乗ってくれない」
もし、そう思われたら、迷わずペンデル税理士法人にご連絡ください。
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