こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
インボイス制度が始まってから、国税庁は実務上の疑問に答えるため
「インボイス制度に関するQ&A」を随時更新しています。
今回はその中から、
特に多くの事業者様が迷いやすいポイントを5つピックアップして解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
ポイント1:口座振替の家賃、インボイスはどうする?
事務所の家賃などを口座振替で支払っており、請求書や領収書が発行されないケースは多いです。
この場合、以下の2点を合わせて保存することで、仕入税額控除の要件を満たすことができます。
- 賃貸借契約書(取引内容・賃料・税率・税額・貸主の登録番号など、
インボイス要件の一部を確認できるもの) - 口座振替の事実が確認できる預金通帳や支払明細
 
ポイント2:消費者向けの商売でもインボイスは必要?
取引相手が一般消費者に限定される事業であっても、その中に事業者(個人事業主など)が
混ざっている可能性があります。
クリニックであっても、もし相手方からインボイスの交付を求められた場合、
たとえ相手が患者でも、発行事業者は交付義務を免れません。
「当院は一般の患者向けなので発行しません」と一律に断ることはできません。
相手が事業者である場合には、求めに応じてインボイスを交付する必要があります。
コンビニや飲食店の様に、レシートなどでインボイスの要件を満たすよう検討が必要です。
 
ポイント3:インボイス発行に手数料を請求できる?
原則として電子インボイスで提供しているにもかかわらず、取引先から紙での交付を
求められた場合、印刷代などの実費相当分の手数料を請求することは、
社会通念上相当な範囲であれば問題ないとされていますが、取引基本契約などで
事前に明示しておくとトラブル防止につながります。
 
ポイント4:紛失したレシート(インボイス)、再発行の義務は?
顧客がインボイスであるレシートを紛失し、後日再発行を求められることがあります。
しかし、販売時に一度適格なインボイスを交付していれば、事業者としての交付義務は
その時点で果たされています。
したがって、法律上、再発行に応じる義務はありません。
もちろん、顧客サービスとして任意で対応することは可能ですが、
その際も「再発行分」であることがわかるよう日付や備考を明示しておくと安心です。
 
ポイント5:領収書にURLを記載してインボイスにできる?
1枚の書類でインボイスの全ての記載事項を満たす必要はありません。
例えば、領収書に登録番号などを記載したWebページのURLを記載し、
顧客がそこにアクセスすることで不足事項を確認できる仕組みであれば、
領収書とWebページ全体で一つのインボイスとして認められる場合があります
(国税庁Q&A「問72-2」参照)。
ただし、Webページの内容が変更されないように管理する必要があります。
 
まとめ
インボイス制度の運用では、こうした細かなルールへの対応が求められます。
手間を省けるよう様々な配慮がなされていますが、
自社の取引形態に合わせて適切な処理方法を確認しておくことが大切です。
ペンデル税理士法人は、税務顧問を通じ、顧問先の皆さまの経営を長期的に支援しています。