こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
お子様やお孫様の将来のために、
祖父母である院長先生が教育資金を援助するケースは多いでしょう。
「教育資金の一括贈与の非課税制度」は、
祖父母などから子や孫へ教育資金をまとめて贈与する際、
学校等への支払い分は1,500万円までが非課税となる制度です。
(塾や習い事など学校以外への支払い分は、1,500万円内で500万円まで)
この制度では、原則としてお子様やお孫様が原則30歳になった時点で契約が終了しますが、
その際に資金を使い切れなかった場合、残額に贈与税が課税されます
(在学中など一定の要件を満たす場合には、最大40歳まで延長されるケースもあります)。
令和5年度税制改正により、契約終了時の残額に適用される税率区分が見直され、
従来の「特例税率」ではなく「一般税率」が適用されることになった点に注意が必要です。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
契約終了時の残額への課税ルール
受贈者(子・孫)が30歳に達するなどして教育資金管理契約が終了したとき、
非課税拠出額から教育費として支払った額を差し引いた残額がある場合、
その残額は契約が終了した年の贈与として扱われ、贈与税の課税対象となります。
税制改正の重要ポイント:「一般税率」の適用
最大の変更点は、令和5年4月1日以降の贈与によって生じた残額には、
税率が高い「一般税率」が適用されることになった点です。
直系尊属(祖父母や父母)からの贈与には、
通常、税率が優遇される「特例税率」が適用されますが、
教育資金贈与の残額については、この優遇が適用されなくなりました。
具体例で見る税率の計算
改正前後の贈与が混在している場合、残額を按分して計算する必要があります
(実務上は金融機関の明細や証明書をもとに確認)。
【事例】
令和3年4月:祖父から1,000万円の贈与(改正前)
令和5年7月:祖父から500万円を追加で贈与(改正後)
契約終了時の残額:600万円
この場合、残額600万円の扱いは以下のようになります。
一般税率の対象となる金額(改正後の贈与分)
600万円 × (500万円 ÷ 1,500万円) = 200万円
特例税率の対象となる金額(改正前の贈与分)
600万円 – 200万円 = 400万円
まとめ
教育資金贈与は有効な制度ですが、出口戦略も重要です。
改正後の贈与分に使い残しがある場合、
その部分には特例税率よりも高い一般税率が適用されるため、
贈与する金額は、将来必要となる教育費を慎重に見積もった上で決定することが肝要です。
金融機関から定期的に送付される利用状況の書類を確認し、
計画的な資金活用を心がけましょう。
ペンデル税理士法人は、税務顧問を通じ、顧問先の皆さまの経営を長期的に支援しています。