こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部の親泊です。
第2回コラムでは、M&Aの具体的な手法とその選択のポイントについて詳しく解説します。
医療機関の経営環境は厳しさを増しており、M&Aは事業承継や経営改革の
有効な手段となり得ます。
しかし、M&Aの手法は多岐にわたり、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で
自院に最適な手法を選択することが重要です。
今回は、代表的なM&Aの手法である「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」について
それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

医療機関経営再編と事業承継の必要性
近年、医療業界は制度改革、技術革新、地域医療の需要変動など
外部環境の変化に直面しており、経営基盤の見直しが求められています。
事業承継は、単なる所有権の移転ではなく、経営の抜本的な見直しや資本再編の手段として
重要視されるようになっています。
高齢化が進むなか、多くの院長が体力的な限界を感じ、後継者不足の問題にも直面し、
同時に、従業員の確保や業務の効率化といった課題にも対応しなければなりません。
法人クリニックでは組織全体の戦略見直しが求められ
個人クリニックでは院長の信頼と実績を次世代へ円滑に継承するための体制づくりが急務です。
このような背景から
M&Aを活用した経営再編は持続可能な発展のための有力な選択肢となっています。
法人クリニックが抱える組織的課題とその対策
法人クリニックでは、規模の大きさや複雑な組織構造が強みである一方で
経営権移行時の組織再編、出資持分の譲渡、役員の配置転換など、多くの調整事項が発生します。
そのため、経営者間や従業員間の意見の不一致、ガバナンス体制の硬直化が課題となりがちです。
これらの問題を未然に防ぐためには、事前に十分な内部調整を行い
外部の専門家と連携しながらスムーズな経営移行を図ることが不可欠です。
ペンデル税理士法人は
多くの法人クリニックの出資持分譲渡や役員退職金の調整を含む経営再編を
成功に導いた実績があり、経営の安定と発展をサポートしています。
個人クリニックにおける事業承継の実情と課題
個人クリニックでは、院長個人の経営手腕と診療ノウハウが重要な資産となります。
しかし、後継者不在や家族内承継の難しさにより、経営基盤の脆弱化が懸念されます。
このような課題に対し
M&Aを活用することで、円滑な経営権の移行と新たな経営資源の獲得が可能になります。
例えば、外部から信頼できる後継者を迎え入れることで、従来の閉鎖的な体制を脱却し
柔軟かつ持続可能な経営モデルを確立することができます。
代表的なM&Aの手法
1.持分(株式)譲渡
持分(株式)譲渡は、法人クリニックにおいて最も一般的なM&Aの手法です。
既存の経営体制を維持しつつ、所有権を移転することが可能であり、
従業員や患者への影響が最小限に抑えられます。
- メリット
経営の継続性が確保される
診療報酬請求や各種許認可の手続きが不要
- デメリット
過去の負債やリスクも承継される
2.事業譲渡
事業譲渡は、クリニックの資産や負債の一部を選択的に移転する方法です。
特定の診療科目のみを引き継ぎたい場合などに適しています。
- メリット
承継する資産や負債を選択できる
過去のリスクを引き継がずに済む
- デメリット
許認可の再取得が必要になる場合がある
個別契約の引き継ぎ手続きが発生する
3.合併
合併は、2つ以上の法人が1つの法人として統合する方法です。
法人クリニック間の統合により、規模の経済を活かした運営が可能になります。
- メリット
規模の拡大による経営効率の向上
組織全体の一体化が可能
- デメリット
ガバナンスの調整が必要
従業員の処遇変更などの課題が発生する
ペンデル税理士法人による支援
ペンデル税理士法人は、30数年前の事務所開設以来
税務、開業支援、医療法人化、分院展開、閉院作業、人事トラブルの解決など
医療機関の経営支援を行ってきました。
法人クリニック、個人クリニックに応じたカスタマイズ支援など
事業承継(M&A)を円滑に進めるお手伝いをしています。
ペンデル税理士法人は、皆様が安心して次世代へ経営を引き継げる環境を整えることを、
地域医療の未来にもつながる重要な課題と捉え、医療機関の持続可能な発展を全力でサポートします。
経営に関するお悩みや事業承継に関するご相談がございましたらぜひ一度お問い合わせください。