こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
2026年も5月を迎えましたが、世界的な地政学リスクの継続は、エネルギー価格や
物流コストの変動を通じ、日本の医療機関経営にも少なからぬ影響を及ぼしています。
医薬品や消耗品の供給網の不安定化、光熱費の負担増など、日常の診療体制を維持するための
コスト管理は、今や避けて通れない経営課題です。
こうした不透明な時代において、地震や台風などの自然災害だけでなく、
予期せぬ有事の際にも「診療を継続できる体制」を整えることが、
地域住民からの信頼に直結します。
その有効な手段として、中小企業等経営強化法に基づく認定制度「事業継続力強化計画」の
活用が挙げられます。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
「事業継続力強化計画」とBCP(事業継続計画)の違い
「事業継続力強化計画」は、いわば本格的なBCP(事業継続計画)への第一歩として
位置づけられる、中小企業向けの認定制度です。
本来、BCPは非常に多岐にわたる複雑な計画策定を要するものですが、
この「事業継続力強化計画」は、防災・減災対策の入り口として、
スタッフの安全確保や電子カルテのデータ保護、停電時の電源確保といった項目を
簡潔に計画書にまとめるものです。
国の認定を受けることで、税制や金融面での各種支援措置の検討が可能になります。
メリット1:一定要件下での「16%特別償却」の検討
現行制度においては、認定を受けた医療機関が、認定日以後に
特定の防災・減災設備を取得等して事業の用に供した場合、取得価額の16%の特別償却が
認められる税制措置(中小企業防災・減災投資促進税制)があります。
これは医療法人・個人開業医の双方で活用可能性がある代表的な税制措置ですが、
あくまで租税特別措置法に基づく時限的な措置であるため、適用時期の確認が必要です。
- 対象となる設備(例): 自家発電設備、止水板、耐震装置、排水ポンプなど。
- 要件の目安: 機械装置(100万円以上)、器具備品(30万円以上)などで、
一定のスペックを満たすもの。 - 税務上の効果: 特別償却は、通常の減価償却費に加えて「初年度に追加で償却」
できる仕組みです。- 医療法人の場合は「損金」、個人開業医の場合は「必要経費」として、
取得年度に費用を厚く計上することで、課税所得を圧縮し、
キャッシュフローの改善を図る一助となります。
- 医療法人の場合は「損金」、個人開業医の場合は「必要経費」として、
メリット2:補助金における加点措置と個別性の確認
代表的な中小企業向け補助金の申請において、この計画の認定を受けていることが
採択に向けた「加点項目」となる場合があります。
ただし、医療機関については公募回ごとに申請対象や要件が細かく変動するため、
慎重な確認が必要です。
- 補助金活用の視点
「ものづくり補助金」や「中小企業省力化投資補助金」などの主要な補助金においては、
医療法人の形態や、主たる事業内容(自由診療の割合等)によって対象可否が
分かれるケースがあります。
- 留意点
保険診療を中心とする事業については、補助金の趣旨(他の公的制度との重複排除等)
により制限を受ける場合があります。
「医療機関だから一律不可」あるいは「必ず採択される」というものではなく、
個別の公募要領に基づいた検討が不可欠です。
メリット3:金融支援と資金繰り対策
認定取得により、以下のような金融面での支援策も検討対象となります。
- 日本政策金融公庫等による融資
防災・減災設備の導入にかかる資金について、低利融資制度の活用が検討可能です。
- 信用保証の特例
信用保証協会による保証枠の別枠設定など、資金調達の選択肢を広げる効果が
期待できます。
導入にあたっての重要な実務ポイント
本制度の活用、特に税制措置の適用にあたっては、「設備の取得時期と認定時期の
先後関係」が極めて重要になります。
原則として、計画の認定を受けてから対象設備を取得する流れとなりますが、
設備の契約・取得のタイミングによっては適用が認められない場合もあります。
検討の初期段階で、必ず税務上の留意点を踏まえたスケジューリングを行う必要があります。
専門家と共に構築する「強靱な経営」
補助金や税制の要件は多岐にわたり、かつ医療機関特有の制限も存在します。
ペンデルグループでは、医療法人の皆様が制度の趣旨を正しく理解し、
適切なタイミングでメリットを享受できるよう、最新の運用情報を踏まえたサポートを
行っております。
有事に揺るがない経営基盤を構築しつつ、税務上の利点を最大限に活かすために、
まずは自院で活用可能な制度の診断から始めてみませんか。
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