こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
日本は自然災害の多い国であり、毎年地震や台風などによる被害が発生しています。地域医療のインフラを担うクリニックにとって、BCPを策定し、災害時の対応をあらかじめ整理しておくことは、地域医療を支えるうえで極めて重要です。
本コラムでは、災害時の労務管理に焦点を当て、経営者が事前に整理しておくべき判断基準を解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

■ 自然災害発生時の「休業手当」の考え方
災害により事業所が直接被害を受け、やむを得ず休診とする場合、「休業手当」の支払義務が生じるかが問題となります。休業手当の支払いが免除される「不可抗力」と認められるには、「原因が事業の外部より発生した事故であること」「最大の注意を尽くしても避けられない事故であること」の2条件を満たす必要があります。
地震や台風による建物被害や停電、行政による避難指示などが該当する可能性がありますが、単に患者数が減少したことを理由とする休診は、原則として休業手当の支払い対象となるため注意が必要です。
■ スタッフの生活を守る給与の「非常時払い」
災害によってスタッフやその家族が被災し、転居や生活再建の費用を必要として給与を請求してきた場合、労働基準法上、請求があれば支払う必要があります。企業は、給与の支払期日前であっても、すでに働いた分の給与については遅滞なく支払わなければなりません。
有事の際、スタッフの不安に寄り添う迅速な対応が、組織への信頼感を高めます。
■ 災害対応時の時間外労働と労災保険の適用
地域の急患対応など、災害その他避けることのできない事由による臨時の必要がある場合には、労働基準法第33条に基づき、所轄労働基準監督署長の許可(または事後届出)により、例外的に時間外・休日労働の上限を超えて働くことが認められます。
また、台風の中での通勤途上での事故は、通常の経路であれば通勤災害と認められる可能性がありますが、公共交通機関の運休状況なども踏まえ、危険を冒しての無理な出勤指示は避け、スタッフの安全確保を最優先とするルール整備が求められます。
おわりに
BCPはマニュアルを作るだけでなく、人事・労務面のルールを整備して初めて実効性を持ちます。災害時の休業判断や給与補償のルールは、就業規則で事前に明確化しておくことが重要です。
私たちペンデルグループでは、税理士法人と社会保険労務士法人が連携し、医療機関向けの労務リスク管理から就業規則の見直し、BCPを踏まえた危機管理体制の整備まで総合的にサポートしています。
社会保険労務士法人の顧問先様であれば、このような各種人事労務に関するご相談に随時対応可能です。有事にも揺るがない医療経営の基盤づくりに不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

(参考)
厚生労働省『災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等について』(PDF)
厚生労働省『医療施設の災害対応のための事業継続計画(BCP)』