こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
複数の分院を展開されている院長(理事長)、スタッフ間のトラブルにどう対処すべきか、頭を抱えてはいませんか?
「せっかく採用したのに、なぜか他のスタッフと揉めてしまう…」
「このままでは、頑張ってくれている他のスタッフが辞めてしまうかもしれない…」。
このような不安は、クリニックの安定的な運営を脅かす深刻な問題です。
今回は、特定のスタッフと既存スタッフとの間で人間関係のトラブルが発生した場合の、
法的リスクを回避しつつ円満な解決を目指すための対応策を解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

トラブルの火種を特定する
スタッフから「あの人とは一緒に働きたくない」という声が上がった場合、
感情的な対立だと決めつけず、その具体的な理由を深く掘り下げることが重要です。
単なる好き嫌いなのか、それとも仕事上のコミュニケーション不足、患者さんへの対応、
業務遂行能力といった、客観的に評価できる問題があるのかを見極めましょう。
具体的な事実に基づいていない場合、安易な対応(シフト変更など)は他のスタッフに
「不満を言えば希望が通る」という誤ったメッセージを伝えかねません。
法改正から1年半、クリニックの契約書は「有効」か?
2024年4月の労働基準法施行規則の改正により、労働条件通知書への
「就業場所・業務内容の変更範囲」の明示が義務化されました。
2025年10月現在、この改正後に入職したスタッフ、あるいは契約更新をしたスタッフの
書面に不備があれば、勤務地変更の命令そのものが「根拠なし」として無効とされる
リスクが、改正直後よりも現実的な脅威となっています。
「知らなかった」では済まされない、コンプライアンスの最低ラインです。
特に注意すべきは、2024年4月以前から在籍しているスタッフです。
古い契約書のまま『勤務地の変更範囲』が曖昧な状態で放置されていませんか?
改正後の基準に合わせて契約を巻き直していない場合、
いざという時の命令権が認められない恐れがあります。
事実に基づく「正攻法」の打診
雇用契約書に明確な規定がない場合、合意を得るための「伝え方」が重要ですが、
安易な嘘(建前)は禁物です。
- NG
「君の成長のために分院へ行ってほしい」(実際はトラブル回避が目的) - OK
「現在の職場環境では、円滑な業務遂行に支障が出ているという事実がある。
クリニックの生産性を維持するため、環境を変えて再スタートを切ることを提案したい」
本音を隠した「前向きな理由」は、相手に「今の場所で頑張りたい」と反論された際に
説得できません。客観的な事実(周囲のヒアリング結果等)を突きつけ、
「このままでは双方にとってマイナスである」という認識を共有することが、
交渉の第一歩です。
コストとリスクについて
問題社員一人に振り回される時間は、院長にとって最大の損失です。
「自分で何とかしよう」と悩んでいる間に、優秀なスタッフが静かに退職を決意する
「サイレント・エグジット」が進んでいます。
問題社員を放置する1日は、優秀なスタッフが転職サイトを眺める1日です。
社会保険労務士を顧問につけるコストを惜しむことは、
将来的な訴訟リスクと、採用・教育コストの増大という、
より大きな損失を放置していることと同じかもしれません。
おわりに
スタッフ間のトラブルは、クリニックの雰囲気を悪化させ、
ひいては患者さんへのサービス品質にも影響を及ぼします。
事前の法的整備と問題発生時の適切なコミュニケーションこそが、
トラブルを解決し、健全なクリニック経営を維持するための鍵となります。
もし、具体的な対応で迷い、専門家のサポートが必要だと感じたら、
いつでもペンデルグループにご相談ください。
ペンデル税理士法人医業経営支援部では、ペンデル社会保険労務士法人と連携し、
人事相談に対応するほか、医療機関の会計・税務・経営相談の他、
開業・承継・医療法人申請・レセプトチェック指導に特化したサービスを提供しております。
お困りのことがございましたら、
どうぞ、問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
(参考)
厚生労働省:労働条件の明示(2024年4月改正)
厚生労働省:職場のハラスメント対策