こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
2026年10月より、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)防止対策が企業の義務となります。医療機関においては、患者や家族からの過度な要求や暴言、いわゆる「ペイシェントハラスメント」が大きな課題です。医療法人やクリニックも労働者を雇用する事業者として、この義務の対象となります。10月の施行を目前に控え、医療法人の担当者は方針の策定や相談体制の整備などを早急にととのえる必要があります。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

■ ペイシェントハラスメントの判断基準とは
厚生労働省の指針では、カスハラを「顧客等の言動であって、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、従業員の就業環境が害されるもの」と定義しています。医療現場では、「待ち時間に対する執拗なクレーム」「診療内容への不当な言いがかり」「スタッフへの暴言・威圧的な態度」のほか、「長時間の居座り」なども該当します。ただし、疾患や障害による合理的な配慮の要請はカスハラには当たらないため、過重な負担でない限り適切に対応するよう慎重な判断が求められます。
■ 医療機関が今すぐ講ずべき5つの対応
医療機関に義務付けられたのは以下の5点です。
- 方針の明確化と周知・啓発
ハラスメントには毅然と対応する方針を明確化し周知する。
- 相談体制の整備
スタッフが報告できる相談窓口を定め、適切に対応できるようにする。相談担当者への教育や情報管理体制もあわせて整備しておきましょう。
- 事後の迅速かつ適切な対応
事実関係の確認と、被害スタッフへの配慮、再発防止措置を実施する。
- カスハラ抑止措置
悪質なケースに対する対処方針を事前に策定し、周知する。
- プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
相談者の保護と不利益な取扱いの禁止を定めて周知する。
■ スタッフを守るための実務対応
現場が迅速に対応できるよう、マニュアル等の内部手続きを事前に整備しておくことが重要です。発生時の現場対応フローや警察への通報基準、対応打ち切りの基準などを定めます。また、事実確認などに録音・録画を利用する場合は、個人情報保護にも配慮した運用ルールを整備したうえで、院内掲示等で周知しておくことも有効です。平時からロールプレイなどの研修を実施し、初期対応スキルを養うことが、クリニックの健全な運営とスタッフの離職防止につながります。
おわりに
医療機関の労務管理において、ペイシェントハラスメントへの対応はスタッフを守るための最重要課題の一つです。私たちペンデルグループでは、税理士法人と社会保険労務士法人が連携し、カスハラ対策の体制構築から日々の労務管理まで総合的にサポートしています。
顧問先様であれば、このような各種人事労務に関するご相談に随時対応可能です。「うちの対策はこれで十分か」「何から始めればよいか分からない」など、お困りごとがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

【参考】
厚生労働省『令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!』(PDF)