こんにちは。ペンデル税理士法人医業経営支援部の浦田です。
日頃、クリニックの診療報酬や施設基準について、院長先生からさまざまなご相談をいただいています。
今回は、最近ご相談の多い「ベースアップ評価料」についてお話しします。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
2024年に新設された「ベースアップ評価料」
届出を行い、ベースアップ評価料を算定することで、医療機関は職員の賃上げに充てるための収入を得ることができます。
「届出を出して、職員の給与も上げた。これで一安心!」
……と思っている院長先生。実は、これで終わりではありません。
ベースアップ評価料を算定する医療機関には、「報告書」の提出が義務付けられています。
2026年度からは、8月に2種類の報告書を提出することになりました。
① 昨年度の実績報告 前年度1年間のベースアップ評価料による収入と、実際に職員の賃金改善に充てた額などを報告します。
② 中間報告 当年度の6月・7月の状況を報告します。
この「中間報告」は、2026年度の診療報酬改定で新たに設けられたものです。
なぜ、中間報告が必要になったのでしょうか
2026年度はベースアップ評価料の点数が引き上げられました。
そのため、6月以降に増えた収入が、実際に職員の賃上げにきちんと反映されているかを年度途中でも確認する狙いがあると考えられます。
では、この制度はいつまで続くのでしょうか
2028年度以降も中間報告が予定されていることから、少なくとも当面は継続される見通しです。
一方で、診療報酬改定では、これまで算定できていた項目が突然見直されることも珍しくありません。
「今は点数がついているけれど、将来なくなったらどうしよう」
そんな不安を抱える院長先生も少なくないはずです。
実際、ベースアップ評価料の今後については、さまざまな見方があります。
- 「介護の処遇改善加算が長く続いていることを考えると、医療でも継続するのではないか」
- 「一定数の医療機関が施設基準を取得すれば、役割を終えるのではないか」
- 「初年度の反応を踏まえて、しばらくは継続するのではないか」
もちろん、現時点で将来の運用を正確に予測することはできません。
一方で、届出を見送る、あるいは取り下げを検討されている院長先生からは、次のような声も聞かれます。
- 「患者さんの負担を増やしてまでやることなのか」
- 「これまでも十分に賃上げしてきたので、あえて算定する必要はない」
- 「もし制度がなくなったときに、『では給料を下げます』とは言えない。将来的に医院の負担になるのではないか」
どの意見にも、もっともな理由があります。
では、ベースアップ評価料を算定することには、一体どのような価値があるのでしょうか
私は、「職員の処遇改善に取り組んでいる姿勢を、採用活動にも活かせる」という点も大きなメリットの一つだと考えています。
もちろん、求職者が「ベースアップ評価料を算定しているから、このクリニックに応募しよう」と直接の決め手にするケースは多くないかもしれません。
しかし、求人票に「ベースアップ評価料による賃上げを実施しています」と明記することで、単純な給料の金額だけでは伝わりにくい「職員を大切にする医療機関としての姿勢」をしっかりとアピールできます。
人材採用が難しくなっている今、単に給料を上げるだけでなく、「職員の待遇改善に継続的に取り組んでいるクリニックであること」を社外へ発信していくことが極めて重要です。
せっかく職員のために取り組んでいる制度なら、採用活動の強みとしても活かしてみる――そんな視点を持ってみるのはいかがでしょうか。
ベースアップ評価料は、単に「点数を取って収入を増やす」だけの制度ではありません。
- 届出をするのか、しないのか。
- 算定した場合、どのように職員へ還元するのか。
- 報告書の作成・提出を含め、どのように運用していくのか。
- そして、将来制度が変わったときにどう対応するのか。
「とりあえず届出を出す」のではなく、自院の人件費や採用、今後の経営戦略まで含めて総合的に考えることが大切です。
「うちのクリニックの場合、ベースアップ評価料を算定した方がいいの?」
「届出はしたけれど、給与への反映方法や報告書の作成が不安……」
「せっかく賃上げしているので、採用活動にも活かしたい!」
そんなお悩みやご相談があれば、ぜひ一度お気軽にご連絡ください。 単なる制度の解説にとどまらず、「自院にとって最も効果的な活用方法」を一緒に考えていきましょう。
(ペンデルへのお問い合せ はこちらから)
(参考)
厚生労働省:ベースアップ評価料 特設ページ(厚生労働省)
厚生労働省:届出の手引き(無床診療所・医科歯科向け PDF)