こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
「最近、ベテランの看護師さんが階段をつらそうに上り下りしているな」「シニアの清掃スタッフさんが、濡れた床で滑りそうになっていた」――院内でこのような光景を目にされたことはありませんか?
深刻な人手不足が続く医療界において、経験豊富で患者様からの信頼も厚いシニア職員の存在は、医院経営を支える大きな原動力です。しかし、もしそのベテラン職員が院内で転倒して骨折し、長期休業を余儀なくされたら……明日からの診療体制はどうなるでしょうか?
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

■ 改正法で新たな「指針」が適用に
働くシニア世代の増加に伴い、職場での労働災害(ケガ)は全国的に増加傾向にあります。厚生労働省の統計によると、労働災害で4日以上休業した人のうち、約3割を60歳以上のシニア層が占めています。特に女性の場合、30代と比べて労働災害の発生頻度(度数率)が約5倍に上り、骨折など重症化しやすい特徴が見られます。
こうした背景から、2026年4月、改正労働安全衛生法に基づき「高年齢者の労働災害防止のための指針」が適用されています。今回の指針適用により、シニア職員の身体的特性(筋力や視力の低下など)に配慮した安全対策について、医療機関を含むすべての事業者に対して適切な取り組みが求められることとなりました。
■ 医療現場に潜む身近な転倒・腰痛リスク
医療機関には、シニア職員にとって身近なリスクが数多く潜んでいます。2階への階段やリハビリ室のちょっとした段差、バックヤードの明暗差、水や消毒液で濡れやすい床など、若手なら何でもない場所が大きな転倒リスクに変わります。また、患者様の介助や物品の運搬などによる「腰痛」も、高年齢職員では重症化しやすいため軽視できません。福祉用具の活用や複数人での介助体制の確立など、事前の対策が必要です。
■ 院内ですぐに取り組める2つの対策案
専門知識がなくても、計画的に進められる対策があります。
- ハード面の対策(環境の改善)
通路の段差解消や手すりの設置、調剤室や受付の照明の明るさ向上、スタッフへ滑りにくい防滑靴を支給する、移乗補助具などの福祉用具を積極的に導入する。
- ソフト面の対策(運用の改善)
本人の体力や身体機能の変化、健康状態を把握する機会を定期的に設ける。また、夜勤の回数や負担の大きい業務の配置について配慮し、短時間勤務の導入やタスクシフト(業務分担)による無理のないシフト設計を検討する。
なお、これら職員の健康・体力情報を扱う際は、不利益な取扱いが発生しないよう事前に院内ルールを定めておくことが重要です。大切なベテラン職員が安心して長く働ける環境をつくることは、離職を防ぎ、安定した医院経営を続けるための「土台作り」といえます。
おわりに
「うちのクリニックの環境で、どこを改善すればよいか分からない」という院長先生は、ぜひ一度ご相談ください。
ペンデル社会保険労務士法人をはじめとするペンデルグループでは、社労士や税理士が密に連携し、貴院の実情に合わせた安全衛生体制の構築から、就業規則の改定、活用可能な助成金のご案内までトータルでサポートいたします。大切な職員と医院の未来を守るために、まずはお気軽にペンデルグループまでお問い合わせください。

(参考)
厚生労働省『高年齢者の労働災害防止のための指針』