こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
クリニックの円滑な運営において、医療事務や看護助手、クラークといった
スタッフの存在は欠かせません。
しかし、年末が近づくにつれて「税金の扶養から外れたくない」という理由から
シフト調整が相次ぎ、人手不足に悩まされる院長先生も多いのではないでしょうか。
この「年収の壁」問題に関して、令和8年適用の税制改正で実務に直接影響を与える
見直しが行われました。クリニックの人員配置に直結する内容ですので、
具体的なポイントを押さえておきましょう。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
■令和8年適用の税制改正:給与所得控除の引き上げ
令和8年度税制改正の大綱では、物価上昇局面における基礎控除等の対応として、
基礎控除や給与所得控除の最低保障額に、消費者物価指数の上昇率を加味して調整する
仕組みが盛り込まれました。
具体的には、パートスタッフの給与計算に直結する「給与所得控除の最低保障額」について、
以下の具体的な引き上げが行われます。
- 従来の最低保障額:65万円
- 令和8年分以降の最低保障額:74万円(本則69万円+物価上昇等に伴う特例上乗せ5万円)
これにより、これまでの「年収103万円(給与所得控除65万円+基礎控除48万円)」という
所得税が発生し始める収入水準が、実質的に見直されることになります。
■クリニック経営におけるメリットと実務上の注意点
所得税が発生しない枠が拡大することは、スタッフがより多くシフトに入れるようになる
ため、クリニック側にとってもプラスの要素です。
たとえば、時給1,300円の医療事務スタッフの場合、従来よりも非課税の範囲内で
勤務できる年間時間が約69時間(月換算で約5〜6時間)増える計算になります。
しかし、クリニックにおいて注意すべきは「社会保険の扶養基準(いわゆる130万円の壁)」
です。所得税の発生水準が上がっても、年収が130万円以上となって配偶者の
社会保険の扶養から外れ、ご自身で国民健康保険や国民年金に加入することになると、
保険料の負担により短期的には手取り額が減少する場合があります。
多くのスタッフにとっては、税額そのものよりも手取り額への影響が重要な関心事と
なります。 また、毎年のように最低賃金が上昇しているため、同じ勤務時間でも
年収が増加しやすくなっているという構造的な問題は依然として残っています。
※従業員数51人以上のいわゆる「特定適用事業所」に該当する医療機関は
「106万円の壁」があります。
■スタッフとの対話と専門家によるサポート
クリニックとしては、今回の改正内容をスタッフへ分かりやすく周知し、個々の希望する
働き方(扶養範囲内を重視するか、社会保険に加入して勤務時間を延ばすか)を
改めてヒアリングすることが重要です。
その上で、適正な人員配置とシフト管理を行うことが求められます。
税制改正に伴う給与計算への影響や、複雑化する労務管理にお悩みの際は、
ペンデル税理士法人の医業経営支援部、およびペンデル社会保険労務士法人へ
お気軽にお声がけください。
税務と労務の両面から、クリニックの安定した組織づくりをサポートいたします。
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(参考)
財務省:令和8年度税制改正の大綱
国税庁:タックスアンサーNo.1410給与所得控除