こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
子息・息女や孫を医療の道へ進ませるため、多額の教育費を支援しつつ、将来の資産承継も考えたいという院長先生は多くいらっしゃいます。これまで、その強力な後押しとなっていた「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」ですが、令和8年(2026年)3月31日をもって適用期限を迎え、新規の利用は終了いたしました。
特例終了により「もう無税でまとまった教育支援はできないのか?」とご相談を受けることが増えましたが、決してそのようなことはありません。今回は、特例終了後に検討したい、教育資金支援と資産承継を両立する税務上の基本アプローチを再確認します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
教育費支援の基本:「必要な都度」の贈与と直接払い
大前提として、「扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、通常必要と認められるもの」は、そもそも贈与税が非課税とされています。祖父母から孫への教育費援助も、税務上の「扶養義務者」の範囲に広く含まれます。
つまり、医学部の高額な入学金や授業料、専門的な学習塾の費用、下宿先の家賃など、教育を受けるために通常必要と認められる費用については、必要な都度、通常必要な金額を支払うのであれば全額が非課税となります。その際、実務上は学校や貸主等へ直接支払う方法が最も安全といえます。
注意点は、「将来のために」とまとまった金額を事前に孫の口座へ振り込んだり、教育費名目で受け取った資金を預貯金として蓄えたりした場合は、贈与税の課税対象となってしまうことです。あくまで「必要なタイミングで、必要な金額だけを充てる」ことが、確実な非課税ルートです。
暦年贈与との「使い分け」で着実に資産を移転
特例がなくなった現在の実務では、前述の「教育費の都度払い」と、年間110万円の基礎控除の枠内で財産を移転する「暦年贈与」を組み合わせる方法が、有力な選択肢となります。
学費や生活費といった実費は非課税の「都度払い」で支援し、それとは別に暦年贈与を活用することで、将来の医院建替えや独立開業などに備えた資金として、着実に次世代へ移転できます。ただし、税務調査で名義預金とみなされないよう、毎年贈与契約書を作成し、受贈者自身が管理する口座へ振り込むといった証拠の保全を徹底することが重要です。
総合的なプランニングが求められる時代へ
教育資金特例という分かりやすいパッケージが終了した今、非課税枠の大原則に立ち返り、複数の手法を組み合わせた緻密なプランニングが求められています。
生前の資産移転では、ここまで述べた「教育費の都度払い」と「暦年贈与」に加え、累計2,500万円まで贈与時に課税されない**「相続時精算課税制度」**も選択肢となります。値上がりが見込まれる資産を早期に移すなど、ご家庭の状況に応じて使い分けることがポイントです。
また、生前贈与だけでなく、万一の際に備える「生命保険」の活用も、相続対策全体では重要な役割を果たします。生命保険金には相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、納税資金の確保や、特定の方へ財産を遺す手段として有効です。このように、生前贈与と相続時の対策を一体で捉えた総合的な設計が、これからの資産承継では欠かせません。
院長先生個人の確実な資産管理や、次世代への円滑な資産承継対策のご相談については、相続税に精通した専門チームと医業経営支援チームが連携するペンデル税理士法人へ、お気軽にご相談ください。

(参考)
国税庁:タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
国税庁:タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」