こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
物価高が続くなか、賃上げ以外の方法でスタッフの待遇を改善したい
とお考えの院長も多いのではないでしょうか。
その一つとして有効なのが「食事補助」です。
最近では、弁当の宅配や設置型の社食サービスなど、多様な食事補助サービスが登場しています。
この食事補助は、一定の要件を満たせば、スタッフの給与として課税されずに(非課税で)
提供することができます。今回はそのためのルールを解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

食事補助の非課税限度額が3,500円から7,500円に引き上げ
2026年3月31日の通達改正により、役員や従業員に現物で支給する食事について、所得税が非課税となる限度額が、月額3,500円から月額7,500円へ引き上げられました。
新しい限度額は、2026年4月1日以後に支給する食事から適用されています。
長年3,500円だった限度額が大きく引き上げられたことで、福利厚生としての食事補助をこれまで以上に活用しやすくなっています。
食事補助が非課税となる2つの要件
役員や従業員に提供する食事について、次の2つの要件を両方とも満たしていれば、その食事補助による経済的利益について給与として課税されません。
- 役員・従業員が食事価額の半分以上を負担していること
- 法人(医院)の補助額が、1か月あたり7,500円(消費税・地方消費税を除く)以下であること
つまり、
「本人負担50%以上」+「医院負担 月7,500円以下」
の2つがポイントです。
このいずれかの要件を満たさない場合には、食事の価額から本人負担額を差し引いた金額が、原則として給与として課税されます。
具体例で見る課税・非課税の判定
次のケースで考えてみましょう。
- 提供内容:1食500円(税込)の弁当と食堂
- 本人負担:1食300円
- 提供日数:弁当15日/月、食堂5日/月
STEP1.本人が食事価額の半分以上を負担しているか
1食500円に対して、本人負担は300円です。
500円 × 50% = 250円
本人は300円を負担しているため、
300円 > 250円
となり、「食事価額の半分以上を本人が負担する」という要件を満たしています。
STEP2.法人(医院)の月間補助額を計算
弁当の補助額は、
(500円-300円)×15日=3,000円
食堂の補助額は、
(500円-300円)×5日=1,000円
したがって、月間補助額の合計は、
4,000円
となります。
STEP3.税抜の補助額が7,500円以下か確認
弁当が軽減税率8%、食堂が標準税率10%の対象であるとすると、
- 弁当:3,000円 ÷ 1.08 ≒ 2,777円
- 食堂:1,000円 ÷ 1.10 ≒ 909円
税抜の補助額は、合計でおおむね
3,686円
となります。
これは現在の非課税限度額である7,500円以下です。
判定結果
このケースでは、
- 本人が食事価額の半分以上を負担している
- 医院の月間補助額が税抜7,500円以下である
という2つの要件をどちらも満たしています。
したがって、医院が負担する食事補助について、スタッフの給与として課税する必要はありません。
なお、改正前の非課税限度額は3,500円だったため、このケースでは限度額を超えていました。
2026年4月の改正によって、これまで課税対象となり得た食事補助についても、非課税で提供できる範囲が広がっています。
食事補助を導入するときの注意点
残業・宿日直時の食事
残業や宿日直を行う際に、勤務のために支給する食事については、通常の食事補助とは異なる取扱いがあります。
一定の要件のもと、無料で食事を支給しても給与として課税しなくてよいとされています。
現金での食事代支給は原則として給与課税
食事そのものを提供するのではなく、スタッフに「昼食代」などとして現金を支給する場合には、原則として支給額の全額が給与として課税されます。
そのため、非課税の食事補助制度を設計する場合は、現金手当として支給するのではなく、弁当の提供や社員食堂、食事サービスなどの仕組みを利用することが重要です。
なお、深夜勤務者に夜食を現物で支給することができない場合など、一部例外的な取扱いもあります。
まとめ
2026年4月から、食事補助の非課税限度額は月額3,500円から7,500円へ大幅に引き上げられました。
非課税で食事を提供するためのポイントは、
「本人が食事価額の半分以上を負担すること」
そして、
「医院の補助額を月7,500円(税抜)以下にすること」
の2点です。
物価高によってスタッフの昼食代などの負担も増えているなか、食事補助は、医院にとっては福利厚生を充実させる手段となり、スタッフにとっては日々の負担軽減につながる制度です。
今回の非課税限度額の引き上げを機に、これまで食事補助を導入していなかった医院でも検討する価値が高まったといえるでしょう。
「自院で導入すると、どこまで非課税にできるのか」
「現在利用している食事サービスは対象になるのか」
「給与課税されない制度設計にしたい」
といったご相談がございましたら、ペンデルグループまでお気軽にご相談ください。

【参考】
国税庁タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき
食事を支給したときの非課税限度額の判定
国税庁質疑応答事例 使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合