こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
2025年度の地域別最低賃金について、中央最低賃金審議会の答申により、
全国加重平均で66円引き上げ、時給1,121円とする方針が示されました。
上げ幅、上昇率ともに過去最大となり、
全国すべての都道府県で時給1,000円を超える見込みとなっています。
この大幅な引き上げは、
特にスタッフを多く雇用するクリニックや中小企業の経営に大きな影響を与えます。
今回は、最新の状況と、今から準備すべき経営対策について解説します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
2025年度地域別最低賃金のポイント
全国加重平均 1,121円(前年度比+66円、+6.2%)
最高額 東京都の1,226円
最低額 高知県、宮崎県、沖縄県の1,023円
発効日 2025年10月以降、都道府県ごとに順次適用される予定ですが、
地域によっては11月以降の発効となる場合もあります。
クリニック・中小企業への影響
人件費の増加は避けられません。
例えば、時給1,055円で雇用していたパート従業員を1,121円に引き上げた場合、
1日8時間・月21日の勤務で月額約1.1万円、年間で13万円前後の人件費増となる計算です
(法定福利費などを含めると、実際の負担はさらに増加する可能性があります)。
また、時給上昇により、
社会保険の加入対象となる「106万円の壁」や「130万円の壁」を超える従業員が増加します。
これにより、本人の手取りが減ることを懸念した「働き控え」が起こり、
人手不足に拍車をかける可能性も、厚生労働省や経済団体などから指摘されています。
今すぐ取り組むべき3つの経営対策
準備期間は限られています。以下の視点で業務の見直しを進めましょう。
- 生産性の向上(省力化・DX化)
人件費増を吸収するには、少ない人数で業務を回せる体制づくりが不可欠です。
- 医療機関の例
自動受付精算機、Web予約システム、AI問診ツールの導入
- 一般的な対策
タブレット注文、清掃業務のアウトソーシング、定型業務の自動化
- 医療機関の例
- 付加価値の向上と価格転嫁
コスト増に見合う収益を確保するため、提供するサービスの価値を高め、
適切な価格設定を行うことが重要です。
自院の強みは何かを再定義し、患者満足度を高める工夫が求められます。
- 人事・労務管理の見直し
従業員の働きがいを高め、定着率を上げることも重要な対策です。
- シフトの見直し
繁忙時間に人員を集中させるなど、効率的な人員配置を行う。
- 評価制度の整備
従業員の貢献度を正しく評価し、昇給や賞与に反映させる仕組みを構築する。
- シフトの見直し
まとめ
政府は2020年代に全国平均1,500円を目指す方針を掲げており、
今後も最低賃金の上昇基調が続くと見込まれます。
今回の改定を、単なるコスト増ではなく、生産性向上や経営改革を進めるきっかけと捉え、
早期に対策に着手することが、今後の持続的な成長の鍵となります。
ペンデル税理士法人は、税務顧問を通じ、顧問先の皆さまの経営を長期的に支援しています。