こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部 親泊です。
今回で全6回の連載もとうとう最終回となりました。
これまでコラムを読んでいただき、本当にありがとうございました。
少しでも開業を目指す先生方の役に立てれば幸いです!
前回は、「スタッフ募集と採用、労務管理」についてお話しいたしました。
今回は「開業前後の税務と経理」について、お話しいたします。
不明点があれば、いつでもお問い合せいただければ幸いです。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

今回は「開院前後の税務と経理」について、特に質問が多い3つのテーマを中心にお話しします。
① 開業準備でかかった支出は経費にできるのか?
② クリニックで妻が働く場合、その給与は経費として計上できるのか?
③ 開業後、どんな税金を払う必要があるのか?
① 開業準備でかかった支出は経費にできるのか?
結論から言うと、開業準備にかかった費用は「開業費」という名目で経費にできます。
具体的に開業費に該当するのは以下のような支出です
・クリニック開設の打ち合わせで支払った交通費や飲食費
・求人広告の掲載料
・チラシやパンフレットの作成費用
・ホームページ制作やクリニックのロゴデザイン、名刺の作成費用
・近隣クリニックへの挨拶に持参する手土産
・賃貸テナントの仲介手数料
・内覧会の費用
こういった支出は、かかった年にそのまま経費にすることも可能です。
別の方法として、一旦「開業費」という資産として処理し、
利益が大きく出た年に経費として計上することもできます。
所得税は累進課税制度を採用しているため、所得が増えるほど税率も上がります。
ですから、一般的に開業当初の患者さんが少ない時よりも、患者さんが増えて
所得が大きくなったタイミングで、まとめて経費にする方が、税金対策として有効というわけです。
だいたい、課税所得が1,800万円を超える年度で処理することが多いといわれています。
開業前の領収書は、後からでも経費にできるようにしっかり保管しておきましょう。
ファイルなどに整理しておくと便利です。
② クリニックで家族が働く場合、その給与は経費にできるのか?
次に、家族がクリニックで働いた場合、その給与は経費として計上できるのか、
という疑問についてですが、これは条件を満たせば可能です。
特に、青色申告を選択している場合の条件は次の通りです。
・配偶者(もしくは家族)が「青色専従者」として働いていること
・規定の期日までに、所定の届出を税務署に提出していること
・届出書に記載された範囲内の金額で給与が支払われていること
・労働内容に対して適正な金額であること
要するに、届出をきちんとして、給与の支払いが働きに見合った金額であれば、
経費として計上できます。
ただし、届出を忘れると大きな損をしてしまうので注意が必要です。
特に開業後は多くの手続きがあるので、事前に医療専門の税理士に相談することを強くお勧めします。
③ 開業後、どんな税金を払う必要があるのか?
さて、開業すると色々な税金を納める必要が出てきます。
個人事業主としてクリニックを運営する場合、一般的には次のような税金が関わってきます。
・ 所得税、住民税 :これは個人としての税金です。
・ 消費税 :クリニックの自費収入が一定額を超えた場合、消費税を納める必要があります。
・ 事業税 :これも事業を営んでいる場合にかかる税金です。
・ 固定資産税、償却資産税:クリニックの建物や設備に対して課される税金です。
・ 源泉所得税、特別徴収住民税:従業員から預かった税金を納付する義務があります。
これらの税金にはそれぞれ納付期限があり、期限を過ぎてしまうと罰則が課せられることがあります。
よく「知らなかったのだから」とおっしゃる先生もいますが、これは通用しません。
ペナルティを受けてしまいますので、納付期限や手続きについてはしっかり把握しておきましょう。
税金の他にも、開業時には準備しなければならないことが山ほどあります。
すべてを一人で対応するのは難しく、重要な手続きを見落としてしまう可能性もあります。
こうしたリスクを避けるためにも、
医療専門の税理士やコンサルタントなど、信頼できる専門家に頼ることが重要です。
以上、今回は「開院前後の税務と経理」について詳しくお話しました。クリニックの開業は
多くの準備が必要で、税務や経理のことをしっかりと把握しておくことが成功への鍵となります。
着実に準備を進めていくことで、先生方の夢が叶うことを心から応援しています!
ペンデル税理士法人は、開業希望の先生方の頼れる旗振り役として動いておりますので
開業前後の税務だけでなく、全般的なサポートが必要な先生、開業支援についてのご依頼は、
ペンデル税理士法人 医業経営支援部までお気軽にご連絡いただければ幸いです。