医療法人制度には、医療事業の経営主体を法人化することで、資金の集積を容易にし
経営の永続性を確保するという目的があります。
しかし、残念ながら状況により法人の解散を検討しなければならない場合もあります。
たとえば、理事長の急逝により後継者が不在の場合などです。
医療法人の解散理由は医療法により規定されており、事由によって都道府県知事の認可を受け
解散手続きを進める必要がありますのでご注意ください。
医療法で定められている解散事由とは
医療法人が解散する理由は以下のとおりです。
社団医療法人(①⑤は都道府県知事への届出、②③は知事の許認可が必要です)
①定款に定める解散事由の発生
②目的業務の成功不可
③社員総会の決議 : 解散の決議には総社員の4分の3以上の同意が必要です。
④合併
⑤社員の欠亡
⑥破産手続き開始の決定
⑦都道府県知事による設立認可の取消し
財団医療法人(①は都道府県知事への届出、②は知事の許認可が必要です)
①寄附行為で定めた解散事由の発生
②目的業務の成功不可
③合併
④破産手続き開始の決定
⑤都道府県知事による設立認可の取消し
解散後の手続きとは
医療法人が解散すると、清算を担当する「清算人」が選出されます。
清算人は現務を結了し、残余財産を換価(資産の現金化)し
債権の取立てと債務の弁済を行います。
また、財産目録と貸借対照表を作成し、法人の財産状況を調査します。
残余財産がある場合は、定款や社員総会の決議に基づき引き渡し先が決定され
全財産が消尽した時点で法人格が消滅します。
清算人の役割と監督とは
解散した医療法人では、清算人が法人の代表として清算事務を執行します。
通常、理事が清算人となりますが、定款や社員総会で別の人物が選任される場合もあります。
清算手続きは裁判所の監督下にあり、裁判所は必要に応じて検査を行い
都道府県知事に意見を求めたり、調査を依頼したりすることができます。
債権者への公告と催告とは
解散時には、清算人は2か月以内に少なくとも3回、官報公告を通じて債権者に対し
2か月以上の期間を定めて債権の申出を催告しなければなりません。
また、判明している債権者には個別に催告を行います。
この期間内においては債務の弁済は行えません。
清算手続きの内容について
解散後の医療法人は、合併や破産手続きによる解散を除き、清算手続きを進めます。
具体的な清算内容は以下の通りです。
現務の結了
解散前に着手した事務を完了させます。
たとえば、従業員との雇用契約の解消や事務所の賃貸借契約やリース契約の解約が含まれます。
また、清算に必要な場合、新たに契約を結ぶなどの法的行為も可能です。
債権の取立て
売掛金や貸付金の回収を行います。有価証券や不動産は売却などによって現金化するのが一般的です。
債務の弁済
法人の債権者に対して債務を弁済します。清算人は2か月以内に官報公告を行い
一定期間内に債権の申し出を求めます。
残余財産の処分
解散後に残った財産は、定款や寄附行為で定めるところに従って処分され
処分されない財産は国庫に帰属します。
医療法人の登記手続き
解散した医療法人は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に対して
2週間以内に解散と清算人の選任の登記を申請しなければなりません。
都道府県知事の認可が必要な解散の場合は、その認可書を添付する必要があります。
設立認可の取消しによる解散登記は、都道府県知事の嘱託により行われます。
清算結了の登記
清算が完了した後、清算結了の日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する
法務局にて清算結了の登記を行います。
社団法人解散の流れを図で確認する
(届出)
(許認可)
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