こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部です。
「昔、大学病院にいた頃は有給なんて誰も取らなかった」
「自分はもっと過酷な環境で成長してきた」
もし院長、あなたが一度でもこう口にしたことがあるなら、
その考え方は、現在の労働市場や法制度との間に大きなギャップを生み、
結果としてクリニック経営に深刻な影響を与えかねません。
今の労働市場において、その価値観は「美徳」ではなく「経営上の欠陥」です。
2025年以降も、医療従事者の人材不足が続くことが予想されています。
有給休暇を軽視することは、法律違反以前に、「戦略的な自滅」に他なりません。
今回は、院長が見落としている有給休暇の致命的なリスクを指摘します。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

30万円以下の罰則が科される可能性
多くの院長は「バレなければいい」「是正勧告を受けてから考えればいい」と
タカを括っています。しかし、その認識は甘すぎます。
- 「年5日取得義務」の形骸化が招く告発
2019年の義務化から数年が経ち、労働基準監督署のチェックは厳格化しています。
特に年末年始(12月~1月)など、有給休暇の未消化が表面化しやすい時期には、
職員の不満が顕在化しやすくなります。
- 経費にならない罰金の無意味さ
違反1人につき30万円以下の罰金は、当然ながら経費になりません。
10人の職員がいれば300万円。
しかし、本当に恐ろしいのは罰金そのものではなく、「労基署が入った」という事実が、
場合によっては、職員間や地域内で評判として広がるリスクです。
採用コストの垂れ流しという「経営の失敗」
「休みを与えないから生産性が上がる」というのは、院長の勝手な幻想です。
現実はその真逆です。
- 離職ドミノのトリガー
近年、看護師や医療事務職の有効求人倍率は高い水準で推移しています。
有給が取れない不満で1人が辞めれば、残されたスタッフの負荷が増え、
さらに離職が連鎖します。
- 1人採用するのにいくらかかるか
欠員を補充するための紹介手数料、求人広告費、そして新しい職員が戦力になるまでの
教育コスト。有給を数日取らせるコストを惜しんだ結果、
数百万円の「損失」を出していることに気づいてください。
院長が今すぐ捨てるべき「3つの思い込み」
この冬、クリニックを正常化するために、以下の思考の弱さを改めてください。
- 「属人化」を職員の責任にするな
「あの人がいないと回らないから有給は無理」というのは、職員の責任ではなく、
院長のマネジメント不足です。
マニュアル化を怠り、特定の人間に依存している体制自体がリスクそのものです。
- 「忙しい時期だから」という言い訳
繁忙期に休まれるのを嫌がる気持ちはわかります。しかし、だからこそ
「計画的付与制度」を導入し、経営側がコントロールすべきなのです。
場当たり的な対応が、現場の不公平感を生んでいます。
- 「専門家に任せている」という逃げ
社労士に任せているから大丈夫、ではありません。
現場で「休みを言い出しにくい空気」を作っているのは院長自身です。
トップの意識が変わらない限り、どんな制度も機能しません。
2025年、生き残るクリニックの条件
有給休暇をコストと捉えるか、経営資源への投資と捉えるかで、
クリニックの将来は大きく変わります。
一流の院長は、有給休暇を「職員のパフォーマンスを最大化し、
離職による損失を防ぐための投資」と捉えます。
「昔の常識」に固執して、人材という資産を使い潰すのか。
それとも、時代に合わせた労務戦略を構築して安定経営を築くのか。
今、この瞬間がその分岐点です。
具体的な労務環境の改善、あるいは「自分のクリニックのどこが危ないのか」を
知りたい院長は、今すぐペンデルグループにご相談ください。
耳の痛い話も含め、客観的なリスクを提示します。
(参考)
厚生労働省:次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています 有給休暇」の付与日数は、法律で決まっています(PDF)