こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部の親泊です。
少子高齢化が進む中、医療業界におけるスタッフ(看護師、医療事務、受付など)の人手不足は、クリニック経営の最前線課題となっています。求人を出しても応募が来ない、現場の業務負担が重くスタッフが定着しないといった悩みを抱える院長先生も多いのではないでしょうか。
こうした人手不足の打開策として、「スタッフの増員」ではなく、業務そのものを「省力化・DX(デジタルトランスフォーメーション)」することが有効な選択肢となります。国もこの取り組みを強力に後押ししており、その代表例が「中小企業省力化投資補助金」です。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)
「省力化補助金」の2つの類型と医療機関での活用例
本補助金には、あらかじめ登録された製品から選ぶ「カタログ注文型」と、自院の課題に合わせてシステム等を構築する「一般型(オーダーメイド・個別設備)」があり、導入する設備やシステムに応じて申請方法が異なります。
- 補助率: 対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2)
- 補助上限額: 従業員数に応じて750万円 〜 最大8,000万円(賃上げ特例等による上乗せあり)
クリニックにおける具体的な活用例としては、WEB予約・WEB問診・自動受付・自動精算機の連携による窓口業務の省力化や、バックヤードにおける清掃ロボットの導入などが挙げられます。特に近年は、受付業務や会計業務の自動化によって、スタッフの残業時間削減や患者満足度の向上につながる事例も増えています。
採択がゴールではない:知っておくべき「成果目標」と注意点
本補助金を申請・活用する上で、院長先生が最も注意しなければならないのは、事業計画期間中に課される厳格な成果目標と、それに伴う補助金返還等のリスクです。受給するためには、例えば以下のような要件を満たす事業計画を立て、実行していく必要があります。
① 労働生産性
年平均成長率(CAGR)4.0%以上の向上
② 給与支給総額
年平均成長率(CAGR)3.5%以上の増加
③ 事業場内最低賃金
地域の最低賃金より30円以上高い水準を維持 (※上記の数値要件は「一般型」の例です。
申請する類型や公募回によって要件が細かく異なるため、必ず最新の公募要領をご確認ください)
万が一、これらの目標を達成できなかった場合には、補助金の返還等を求められる可能性があります。売上総利益などを基礎とする付加価値額が増加しなかった場合など、一定の免除規定もありますが、最初から「無理のない、かつ達成可能な賃上げ・給与計画」を綿密に作り込んでおくことが大切です。
補助金頼みを卒業する自立型経営へ
省力化補助金は、クリニックの業務効率化を一気に推し進めるための強力な手段になりますが、制度の仕組みを正しく理解していないと、後々大きな財務負担を背負うことになりかねません。「補助金がゼロであっても成立する黒字化の事業計画」に補助金を後乗せするという設計思想が、これからの医療経営には求められます。
ペンデルグループでは、医療機関の設備投資計画の策定から、各種補助金の申請サポート、さらには採択後のフォローまで、中小企業診断士がトータルで支援しております。人手不足の解消と経営効率化をお考えの院長先生は、ぜひペンデルまでご相談ください。

(参考)
中小企業省力化投資補助金 公式ポータルサイト(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
jGrants(経済産業省・デジタル庁)