こんにちは!ペンデル税理士法人医業経営支援部です。
「熱中症対策なんて、建設業や屋外作業の話でしょう」と思われている院長先生も多いかもしれません。しかし、医療機関においても熱中症は決して人ごとではありません。
訪問診療や訪問看護で屋外を移動するスタッフ、空調の行き届きにくいバックヤードや受付など、医療現場でも職員の健康を守る対策が強く求められています。
特に慢性的な人手不足に悩むクリニックにおいて、職員の急な欠員は日々の診療体制に直結します。誰もが安心して働ける環境を整えることは、安定した医院経営における不可欠な投資といえます。
(コラムの内容は公開時の法律等に基づいて作成しています)

■ 労働安全衛生規則に基づく「熱中症対策の義務化」
労働安全衛生規則では、一定の暑熱環境下で熱中症のおそれがある作業について、事業者に必要な措置を講じることが義務付けられています。制度開始後は、対策を整備するだけでなく、実際に院内で運用できているかも重要になっています。
具体的には、以下の2つの措置を確実に講じる必要があります。
- 報告体制の整備と周知
職員が初期症状を自覚した際や、同僚の異変に気づいた際に迅速に連絡・報告できる体制を整えます。日常的な声掛けやこまめな体調確認のルール化が有効です。
- 緊急措置手順の作成と周知
万が一の発生に備え、院内の緊急連絡網、必要に応じて救急搬送や高次医療機関への搬送手順、作業離脱や身体冷却の具体的な手順を記した対応フローを事前に作成し、院内に周知しておく必要があります。
特に訪問診療や訪問看護では、移動時間や車内での待機時間も熱中症リスクとなるため、巡回ルートや休憩時間の見直しも重要です。これらは、実際にリスクが高まる前の「事前の備え」をどれだけ余裕を持って行えるかが極めて重要となります。
■ 適切な対策を怠った場合の「労災・安全配慮義務」リスク
職員が体調不良の兆候を見せているにもかかわらず、適切な措置を怠って業務を継続させ、症状が重篤化した場合、労災事故や安全配慮義務違反による損害賠償請求につながる可能性があります。
日常生活の中で少しずつ暑さに身体を慣れさせる「暑熱順化」の院内啓発や、自覚症状の有無に関わらずこまめな水分・塩分補給を徹底させるなど、組織として職員を守る仕組みづくりを進めましょう。
おわりに
「自院の訪問診療ルートや院内環境において、具体的にどのような労務管理や安全衛生対策が必要か分からない」という院長先生は、ぜひ一度ご相談ください。
ペンデル社会保険労務士法人をはじめとするペンデルグループでは、社労士や税理士が密に連携し、貴院の実情に合わせた安全衛生体制の構築から、就業規則や院内ルールの策定、労務リスクの低減までトータルでサポートいたします。
なお、詳細なルールの策定や個別実務コンサルティングにつきましては、当法人の顧問先様限定のサービスとしてご提供しております。まずはお気軽にペンデルグループまでお問い合わせください。

(参考)
厚生労働省『職場における熱中症防止のためのガイドライン』 (PDF)