こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部です。
前回は所得税の計算方法についてお話いたしました。
さて、後編は「概算経費」の話をしていきましょう。
概算経費とは?
概算経費は、医療機関特有の税制優遇措置のことを指します。正式名称は「社会保険診療報酬の所得金額の特例」といいます。
原則は、年間の収入から【実際の】経費を引いて所得を計算しますが、この特例を適用すると、保険収入に対して概算で経費を計算できるんです。もともと昭和29年(古い!)に創設された制度ですね。
概算経費の計算方法
ここでは、社会保険診療報酬額(保険収入)に基づいた概算経費の計算式を使います。
具体的な計算は以下の通りです
社会保険診療報酬額(A) | 概算経費額 |
---|---|
2,500万円以下 | (A)×72% |
2,500万円超 〜 3,000万円 | (A)×70%+50万円 |
3,000万円超 〜 4,000万円 | (A)×62%+290万円 |
4,000万円超 〜 5,000万円 | (A)×57%+490万円 |
実際の適用例
では、実際にどうやって計算するか、簡単な例で見てみましょう。
例:社会保険診療報酬が3,800万円、経費が実額で2,000万円の場合。
原則の計算では
3,800万円 – 2,000万円 = 所得 1,800万円
税額:
1,800万円×40% – 279万6000円 = 税額 440万4,000円となります。
概算経費を適用した場合
3,800万円×62% + 290万円 = 概算経費 2,646万円
3,800万円 – 概算経費 2,646万円 = 所得 1,154万円
税額:
1,154万円×33% – 153万6,000円 = 税額 227万2200円となります。
この場合、概算経費の特例を使うことで税金が約 213万円も減るわけです。かなりお得ですよね!
どちらを選ぶべき?
概算経費を使うか、原則の計算方法を使うかは、実際に確定申告時にどちらが有利かを見比べて決めるのが一般的ですので、顧問税理士に相談して、最適な方法を選びましょう。
以上、所得税の計算方法と概算経費の概要を説明いたしました。
医療機関の経営に特化した当事務所では、所得税の最適化をはじめ、
様々な税務のご相談に対応しております。
より専門的な知識に基づいたご説明をご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。