こんにちは!ペンデル税理士法人 医業経営支援部 親泊です。
医療法人を設立することには、もちろんメリットがたくさんありますが
デメリットも見逃せません。
後編では、そのデメリットを詳しくお話ししていきますね。
社会保険の加入が必須になる
法人化すると、先生だけでなく、従業員や役員も健康保険や厚生年金に
加入しなければならなくなります。
これに伴う社会保険料は、法人と従業員(役員含む)が半々で負担することになります。
つまり、個人のときよりも保険料の負担が増えます。
「社会保険、めっちゃ高くなるじゃん!」と思うかもしれませんが
加入は義務なので避けて通れません。
最近は、個人開業時に、社会保険に加入される先生も増えてきましたので
あまりデメリットを感じないかもしれないですね。
小規模企業共済や国民年金基金の解約が必要
個人事業主として、節税や将来のための資金づくりとして
小規模企業共済や国民年金基金に加入している先生も多いと思います。
医療法人の役員になると、これらには加入できなくなります。
つまり、法人化した時点で解約しなければならないのです。
これまで積み立ててきたものが一気になくなるわけではないですが
ちょっとショックかもしれませんね。
法人の資金を自由に使えない
法人化すると、先生の収入は毎月決まった額の「役員報酬」となります。
たとえクリニックの経営が好調で大きく利益が出ても、その月に多くのお金を
引き出すことはできませんし、1年間の会計期間中の変更も原則は難しいです。
法人の資金はあくまで「法人のもの」ですから、役員報酬以上の額を自由に使うことはできないのです。
ただ、1年に1回、役員報酬を変更することはできるので、必要に応じて見直すことが可能です。
税理士と相談し、適切に役員報酬を見直してくださいね。
地方税の均等割が増える
個人事業主のときは、所得がマイナス(つまり赤字)になれば翌年の住民税は
ほぼゼロになりますよね。
しかし、法人の場合は違います。
赤字になったとしても、法人には最低7万円の「地方税の均等割」が発生します。
利益が出ていないのに税金を払わなきゃいけないのはちょっと痛いですが
これも法人化のルールです。
業務範囲に制限がある
医療法人には、「この範囲までしかやっちゃダメ」という業務の制限があります。
厚生労働省によると、医療法人は、診療所や病院、介護施設などを運営するための
法人であり、その範囲内での業務に限定されます。
例えば、法人が不動産投資をして家賃収入を得たり、株取引を法人で行うといったことは
NGです。「医療に関連しないビジネスはダメ」と覚えておくといいでしょう。
行政や税務の手続きが増える
法人化すると、毎年の「資産総額変更登記」や、2年に1回の「理事長重任(変更)登記」
などの手続きが必要になります。
それだけでなく、決算が終わったら3カ月以内に都道府県知事に事業報告書を提出する義務
もあります。
個人事業主のときはそのような手続きはありませんでしたが
法人になるといろいろやることが増えるのです。
面倒ではありますが、これも法人化の一部だと割り切る必要があります。
残余財産は国に帰属
医療法人を解散した場合、残った財産は国や自治体に帰属することになります。
「えっ、せっかく稼いだお金が全部国に行っちゃうの?」と不安になるかもしれませんが
計画的に退職金を支給するなどの方法で、このデメリットを回避することは可能です。
要は、解散前にしっかり計画を立てておけば大丈夫、ということです。
医療法人の設立には、これらようなデメリットも伴うため、慎重に検討することが重要です。
前後編に分けて、医療法人設立のメリットとデメリットをご説明いたしました。
次回は、医療法人設立の最適なタイミングについて、詳しくお話させていただきます。
もし、医療法人設立についてご相談がございましたら
お気軽にペンデル税理士法人 医業経営支援部までご相談ください。